欧州の一部で導入されていた男女間賃金格差の開示義務付けは、日本でもこの夏から従業員300人超の企業を対象に取り入れられた。企業内のジェンダー格差を可視化し、是正のきっかけにつなげることがこの新制度の狙いだが[注1]、情報開示によって狙い通り男女間格差は縮まるのだろうか。

デンマークでは2006年とかなり早くから男女間賃金格差の開示を実施している。対象は35人以上の企業と日本より幅広いが、労働組合など労働者代表に開示すればよく、一般に公表する必要はない。

研究[注2]によると、情報開示の義務付けにより、デンマークでは男女間賃金格差は2ポイント縮小した。義務付け以前の男女間賃金格差は15%だったから、それなりの効果があったといえる。加えて、こうした変化が女性に好ましく受け止められたためか、女性の雇用も内部昇進者も増えた。これらを踏まえると、情報開示の義務付けは、職場の男女間格差を縮める上で一定の役割を果たしたことがわかる。

一方で、従業員1人当たり売上高が減少したという気がかりな結果も報告されている。詳しい理由はまだ明らかになっていないが、自分の給料が同僚と比べて低いことに気がついた従業員の士気が下がった可能性が考えられる。給与情報の透明化は、やり方によっては負の効果を持ちうることが指摘されており[注3]、企業側は従業員との丁寧なコミュニケーションが必要だ。

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