東京医療センターでは、数多くの診療看護師が活躍している

超高齢化社会が進み、医師不足が深刻化するなか、地域医療を支える新たな人材として「診療看護師(NP)」が注目を集めている。医療系の大学院で高度医療を学び、NPの資格を取得すれば、一定レベルの診療行為を行える。〝ハイスキル看護師〟は疲弊しきった医療界を救えるのか。

■北海道の訪問看護でリーダー役に

「家に帰りたい、最期は自宅で迎えたいという高齢の患者さんは少なくない。在宅医療のニーズが高まる中、自分自身の判断力と実践力を磨きたい」。北海道で訪問看護に従事していた樋口秋緒さんは、2015年に北海道医療大学大学院のNP養成課程を修了した。現在は恵庭市の医療法人北晨会恵み野病院の訪問看護ステーション「はあと」の責任者として多忙な日々を送っている。

樋口さんは、10人の看護師のリーダー役。在宅療養中の高齢者らの疫病管理を担い、脱水から入退院を繰り返していたケースも、未然に防げることが増えたという。一般の看護師には難しい胃ろうカテーテルの交換などの特定行為も行い、地域医療の担い手として評価を高めた。6月には日本看護協会などから「ヘルシー・ソサエティ賞」を受けた。

原則、診断・診療などの医療行為は医師の専権事項。いくら経験豊富な看護師でもそこに手を触れることができない。在宅医療を担う看護師の共通の悩みは、「医師と連絡がとれない場合、苦しむ患者さんに適切な処置をとりづらいことだ」。地方の医師不足は深刻、しかも働き方改革が進む中、病院では長時間労働の規制が強まっている。医師不足を補う新たな医療人材が求められていた。

■米国ではNPが診療所開設も

そこで着目されたのは米国など先進国で導入が進むNP制度だ。医師の指示を受けず、一定レベルの診療行為が認められ、米国のへき地には診療所開設を認可している州もある。さすがに外科手術ができないが、地域のホームドクター的役割を果たしている。

日本でも10年ほど前から医療系の大学院にNPコースが設けられるようになった。ただ、医師の指示の下での一部の診療行為に限られている。しかし、今風に言えば、リスキリング(学び直し)して実践的な高度医療を身につけた診療看護師は、樋口さんのように全国で様々な成果を上げている。