多くの企業が女性活躍推進法に基づき数値目標を定めて計画的に女性活躍に取り組んでいる。ただ目標を立てたものの、期限までに達成できなかった事例も少なくない。そもそも職場風土や社員の意識は簡単に変わるはずもなく、女性活躍の実現は長く険しい道だ。失敗を糧として次なる一手に挑む目標未達企業の奮闘を追う。

■敗因は「経営層や男性社員の巻き込み不足」

「今は部下とのやりとりもオンライン。関係構築が難しい」。伊藤忠テクノソリューションズの課長・榎本久美子さんは今年初めに本部長・吉田智司さんに悩みを打ち明けた。吉田さんは「性格や仕事への向き合い方などを知り、丁寧に説明しないと若い人には響かない」と勇気づけた。

2人に直接の上下関係はない。榎本さんはエンタープライズ第1本部に所属し、吉田さんは流通営業第1本部を束ねる。2021年に同社が導入したキャリア・スポンサーシップ・プログラム(CSP)を活用し、榎本さんが相談相手に吉田さんを指名した。

CSPの対象は課長や部長への昇格予備軍の女性約150人。仕事の進め方やスキルの磨き方といった悩みに本部長約40人が答える。本部長はキャリアや仕事哲学などを社内サイトで公開。それを参考に女性社員が本部長を選ぶ。

16年に女性登用計画を立てた。21年3月末までに女性管理職を45人から90人に倍増する目標を定めたが、実際は70人に終わった。敗因を分析し、経営層や男性社員の巻き込み不足が浮上した。CSPは男性の経営幹部にも当事者として女性活躍に関わってもらおうと考案した仕組みだ。

他部署の本部長に仕事上の相談に乗ってもらう伊藤忠テクノソリューションズの榎本久美子さん㊧(東京都港区)

新たな目標は24年4月1日時点で90人。数値は据え置いたが、定年退職する女性管理職が今後増えていくので楽なハードルではない。ダイバーシティ・キャリア課の五十嵐麗子課長は「早く達成して次のステージに」と決意を示す。

■女性活躍の行動計画「未達」42.3%

16年度本格施行の女性活躍推進法は従業員301人以上の企業に女性登用に関する行動計画作りを義務付けた。今年4月に法改正され、対象は101人以上の企業に広がった。22年3月末時点で全国約3万9千社が計画を国に届け出ている。

ただ企業は達成に意外と苦慮している。国は女性活躍に積極的な企業を認定する制度も運用している。認定された大手企業を対象に日本経済新聞社は昨年末、計画の達成度を尋ねた。すると「目標未達」が4割に上った。