日銀は3月、金融緩和の長期化を見据えた政策修正を決めたわね。株価をゆがめるなどの副作用を和らげる対策を取り入れたというけど、異次元緩和はいつまで続くのかな。

物価が安定して上昇するよう運営する、日銀の金融政策について、佐藤摩耶さんと村上万里絵さんが清水功哉編集委員に聞いた。

佐藤さん「日銀の金融緩和はさらに長期化しますか」

はい。2013年春に黒田東彦総裁のもとで始めた異次元とされる緩和政策が23年度まで続き、10年を超える可能性が出てきました。

日銀は4月下旬の金融政策決定会合で、23年度も消費者物価上昇率(生鮮食品を除く、直近21年2月は前年同月比0.4%下落)が目標の2%に届かないという予測をまとめそうだからです。足元では20年の反動で上昇圧力がかかっていますが、長期的にみれば力強さに欠けそうです。次の総裁の任期が始まる23年度に2%目標が引き下げられれば、緩和長期化シナリオも変わるかもしれませんが、引き下げは簡単ではありません。

2%目標の達成が遅れる背景には、まず新型コロナウイルスの感染拡大があります。ネット通販普及で価格の比較が容易になったことや、グローバル化で海外から安価な製品が流入していることなど構造要因もあります。物価があまり上がらない状態が長引くと、人々の心理が慣れ、物価に上昇圧力がかかりにくくなるという点も大きいです。

村上さん「一段の長期化は難しくありませんか」

日銀は3月の決定会合で政策の副作用を抑え、緩和をより長く継続できるようにする工夫を施すと決めました。例えば日銀は市場の不安心理を和らげるため、多くの株式にまとめて投資する上場投資信託(ETF)を買っています。年間購入額について約6兆円の原則をやめ、上限の約12兆円を示すだけにしました。

市場安定時には購入を控え、混乱時に重点を置く方針に改めたのです。従来ペースで買えば、株価形成のゆがみが深刻化するとの批判があったためです。

佐藤さん「金利操作についてはどうですか」

ゼロ%程度に誘導するとしている長期金利(10年物国債利回り)の(従来プラスマイナス0.2%程度と解釈されていた)変動容認幅をプラスマイナス0.25%程度と小幅に広げました。金融機関が国債売買で利益を得にくいという点の改善が期待されます。

将来経済の悪化で短期政策金利のマイナス幅(今はマイナス0.1%)を広げる追加緩和を余儀なくされたとき、金融機関に貸し出し支援の事実上の補助金を出すことも決めました。マイナス金利拡大で銀行が日銀に払うお金が増えれば、金融機関経営に打撃です。この打撃を和らげ追加緩和をやりやすくします。