教育費に充てる目的で多額の資金を孫らに贈与する際、非課税の扱いとなる制度があります。資金面で余裕のある高齢層を中心に活用する例が増えています。この制度を使って非課税で贈与できるのは2019年3月末までとされています。仕組みや注意点を見ていきましょう。

 教育資金などの生活資金はもともと、必要な額をその都度、孫や子に渡す分には税金がかかりません。それ以外の資金は、1人につき年間110万円という基礎控除の枠内であれば、贈与税がかかりません。

 これらとは別に教育資金については、1人あたり1500万円を上限として非課税とする時限措置があります。「教育資金の一括贈与の非課税制度」といいます。高齢層にかたよりがちな金融資産を、若年層へと移転させる狙いから政府が13年4月に導入しました。

 利用する際は金融機関で非課税制度専用の口座を孫などの名義で開設し、贈与する資金を預けます。入学金や授業料などが実際に必要になったら口座から引き出すというのがおおまかな流れです。

 同制度向けの商品を扱う信託銀行の場合、設定額は2017年9月末に1兆3千億円と、3年前の2倍強に増えています(信託協会調べ)。利用しているのは70代、80代を中心とする富裕層が比較的多いようです。

■相続財産の圧縮に活用

 贈与した分は財産額が減り将来、残された家族にかかる相続税負担を軽減する効果があります。税理士の浅野恵理さんは「余裕資金が数千万円あり、老後の生活に心配がない層にとっては利用価値が高い制度」と話します。

 この制度で注目したいのは「教育資金」として認められる範囲が広いことです。幼稚園や小中高、大学などの入学金や授業料、学用品、給食費などはもちろん含まれます。

 学習塾や予備校の授業料も対象です。水泳やピアノ教室っといった教育上必要な習い事も原則として認められています。ただ、学習塾や習い事などについては非課税の上限額が500万円と決められています。

 教育資金が必要となり口座から引き出すときには、細目を記した領収書を期限内に提出する必要があります。領収書の入手や管理、送付には手間がかかりますが、手続きは一部簡略化されています。17年からはインターネットを通じた領収書の提出が可能となり、三菱UFJ信託銀行はスマートフォンで撮影した書類の画像を送れるアプリを採り入れています。

 贈与を受けた人が30歳になった時点で非課税の扱いは打ち切られます。その時点でもし口座に贈与資金が残っていれば、贈与税の課税対象になる点は覚えておきましょう。祖父母や父母らが将来の教育方針について話し合い、制度の利用計画をきちんと立てることが大切になります。

 教育資金の非課税制度は今のところ時限的な措置です。非課税で贈与できる期限は19年3月末までとされています。信託協会は政府に対して制度の恒久化を要望する方針ですが、来年度以降に延長されるかどうか見ていく必要があります。

[日本経済新聞朝刊2018年4月21日付]

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