■早期退職からの転職活動は「スピード」が重要

AさんもBさんも、新卒入社以来二十数年、転職を真剣に考えたことはありませんでした。しかし、早期退職というきっかけにより、自分では想像していなかったキャリアに出合うに至ったのです。

ほかにも、早期退職という選択肢を目の前に突き付けられたことに対し、「新しい可能性へ、背中を押してもらった」と語る人がいます。最初は不本意であっても、気持ちを切り替えて前向きにチャレンジすることで、新しいキャリアが開ける可能性があるのです。

AさんとBさんには、ほかにも「成功のポイント」として共通していることがあります。それは「短期決戦」で転職活動に臨んだこと。早期退職を決めるとすぐに転職活動を開始したことにより、早い段階で転職を実現できました。

早期退職制度で退職した後、のんびりと構えている人は少なくありません。長年頑張ってきたのですから、「しばらく骨休めしよう」「長期旅行にでも行こう」と思うのは自然なこと。決して否定するつもりはありません。

しかし、ブランクが長引くほど、選考ではマイナスに傾いてしまいます。情報収集だけでも、早めに開始することをお勧めします。

また、同じ会社から同時期に大量の退職者が出た場合、同じようなキャリアの人たちが転職のライバルとなります。この場合、「早く活動した人」が早期に採用され、遅れて動いた人は「この会社出身の人はすでに何人か採用したので」と門戸を閉じられてしまうこともよくあるのです。

なお、「あのとき、早期退職制度に応募しておけばよかった」と悔やむ声を聞くこともあります。「いずれまた募集があるだろう」と、第1次募集を見送った結果、その次のタイミングがなかなか来ない。1次募集が行われた時期なら有利な転職ができたのに、次の募集タイミングでは市場価値が落ちてしまっていた――つまりは「売り時」を逃してしまうこともあります。

会社の動きも、転職市場の動きも、予測はなかなか難しいもの。しかし、「チャンスを逃した」と後悔しないためにも、常に感度高く情報にアンテナを張っておくことをお勧めします。

森本千賀子
morich代表取締役兼All Rounder Agent。リクルートグループで25年近くにわたりエグゼクティブ層中心の転職エージェントとして活躍。2012年、NHK「プロフェッショナル〜仕事の流儀〜」に出演。『マンガでわかる 成功する転職』(池田書店)ほか、著書多数。

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