■「管理するだけの管理職はいらない」フラット化する組織

一方の企業は、従来型のスキルから新たなスキルに切り替えられない人材を希望退職などでリストラしながら、デジタルトランスフォ−メーション(DX)や事業の統廃合、M&A(合併・買収)などあらゆる手段を使って生き残ろうとしています。そのため、データサイエンティストやテクノロジーを推進する人工知能(AI)エンジニアなど、新分野のタレント(才能のある人)を積極的に採用する動きを見せています。経営戦略の大転換期を迎えて、営業や管理系のホワイトカラーも求められる素養が変化しています。

その象徴的な動きが、管理職のプレーイング化です。昨年、リクルートワークス研究所が実施した調査では、すでに企業の中の約9割のマネジャーが、プレーイングマネジャーとなっていることがわかりました。部下と同様の何らかの業務を担いながらチームのマネジメントを行っている状況です。現代のマネジャーには、管理するだけのマネジメントは求められておらず、いつの間にかプレーイングマネジャーであることを前提として、人を通じて成果を生むマネジメント業務と、自ら成果を生むプレーイング業務の両立が不可欠になっています。

マネジャーがプレーイング業務を行う理由は、一言でいうと、業務の多さと部下の力量不足に起因しています。リクルートワークス研究所が実施したアンケートによると、プレーイングマネジャーがプレーイング業務をする理由の1位は、「業務量が多く、自分もプレーヤーとして加わる必要がある」(57.3%)です。続いて、「部下の力量が不足しており、自分もプレーヤーとして加わる必要がある」(37.3%)、「自分がプレーヤーとして加わらないと、当期のチームの業績目標が達成できないため」(30.3%)となっています。

この結果は、現代のマネジャーが責任を持つ仕事現場の厳しい実態をリアルに表しています。チームとして達成すべき業績目標やミッションを成し遂げるためには、以前よりも高度かつ大量の業務をスピーディーに処理する必要があります。にもかかわらず、人手不足の環境下で十分にスキルを持った部下を確保・育成することが困難なため、マネジャー自身もプレーヤーとして加わる必要性が生じているのだと考えられます。

しかし、意外なことに「プレーヤーとして仕事をすることが、部下育成につながっている」(19.8%)という回答もありました。マネジャー自身がプレーヤーとして行動し、レベルの高い仕事ぶりを部下に率先垂範で見せることで、部下の成長を促すという方法が、新たな職場内訓練(OJT)の形として成立しているということです。これも時代の変化を感じさせる新しいファクトです。