こんなときこそ、両方とも得をする「トレードオン思考」の出番です。両者ともに勝ちになるウィンウィンの解決策を目指すのです。

たとえば、出張費を50%削減するかわりに、経理部をはじめ全社から人的な支援を営業部に対して行うのはどうでしょうか。出張費のカットを撤回するかわりに、売り上げ目標をさらに上積みする、という手も考えられます。

あるいは、こういうのはどうでしょうか。全社員等しく給料をカットして必要な営業費用を捻出する。管理部門と営業部門が一丸となって、起死回生の新規商品の開発を進める。まさにゼロサムをプラスサムに転換する作戦です。トレードオン思考を使えば、創造的に問題解決をすることができるのです。

■トレードオン思考の基本ステップ

トレードオン思考は3つのステップで進めていきます。先ほどのケースで説明します。

第1ステップでは、両者が本当に達成すべき「本質的な課題」を探し出します。たとえば、営業部の課題は「経費を死守する」「論争に勝つ」ことではなく、「受注を増やす」「売り上げ目標を達成する」です。同様に経理部の本質的な課題は、「利益の確保」です。

いずれの課題も会社にとって重要なものであり、その点では両者の対立はありません。そうやって、目的をさかのぼることで、トレードオフの関係から脱却するのがこのステップです。

続く第2ステップでは、両者が共通に目指すべき目標や、解決したい課題を新たに設定します。このケースで言えば、「苦境から脱却する」「社員が一丸となって危機を乗り越える」「新たな成長軌道に乗せる」といったものです。

できれば、両者が協力しないと達成できない、具体的で視座の高い目標が望ましいです。抽象的すぎたり、目先の目標だったりすると発想が広がっていかないからです。

第3ステップでは、設定した目標の達成手段を考えていきます。このときに大切なのは、思い込み(前提条件)をはずして考えることです。「出張しないと受注がとれない」「営業の仕事は営業部がやるもの」「黒字化には経費削減しかない」といった固定観念が思考の足かせになっています。