今回の転職にあたっては「入社前に社内を見学させてくれる会社はないか」と探していたところ体験入社のサービスと出合った。

転職に動いたのが昨年2月だったこともあり、実際に職場を訪れることができた。入社した場合の配属先となる部署の会議に出席したほか、さまざまな部署を見学。「なじみのない分野の会社でピンとこなかったのですが、各部署の仕事内容を聞いていくうちに、事業の全体像が見えてきました」という。締めくくりは社員数人とのランチミーティングで、体験入社は4時間ほどで終わった。

特に印象に残ったのは、実際に入社した場合の上司となる社員と直接話せたことだ。「商品について何も知らず不安だというと、『自分も最初は詳しくなかったから心配はいらないよ』と笑いながら答えてくれた」。ランチのときには「実は会社を辞めようと思ったことがある」と苦労話を打ち明けてくれた。「普通なら入社希望者には避ける話題なのに、何も隠さずに信頼できる人たちだと感じました」と斉藤さんは話す。

斉藤さんを採用したアペックスが「体験入社」を利用したのは「これまで多くの転職サイトや人材紹介会社を利用してきたが、手応えはいまひとつ。入社した社員が定着しない点も気になっていた」(人材採用を担当する岡村圭一さん)ためだ。

■会社の魅力がうまく伝わらない

会社の魅力がうまく伝わっていないと考え、社員の紹介や推薦による「リファラル採用」も試したが、採用できる人数が限られる。体験入社では「斉藤さんの入社で手応えを感じた」といい、体験入社動画の作成も依頼。動画に登場するのはモデルだが、自社サイトや動画配信サイトなどで公開して採用活動に活用している。

サービスを提供する体験入社側も、情報の真偽には注意を払っているという。同社は「動画を公開することで『隠すことがないホワイト企業である』というブランディングにもつながると思います」(松本代表)としている。

「自らの評価の透明性」や「転職先の内情を事前に知ること」で、転職者はより満足度の高い転職を実現し、求人企業も自社に合う人材の獲得がより容易になる。転職が一般的となるなか、マッチングへのニーズは今後さらに増していきそうだ。

(ライター 山影誉子)