まんまるな体形と口ひげが特徴の鈴木もぐらと、眼鏡をかけた知的な印象の水川かたまりのコンビ・空気階段の注目度が上昇している。もぐらのおじさん色の強いルックスを生かしたコントを得意とする2人。昨年9月のコント日本一決定戦「キングオブコント」では、初めて決勝に進出、インパクトを与えた。拠点の「ヨシモト∞ホール」発行のフリーペーパーで表紙を飾るなど、若手芸人をけん引する存在でもある。

空気階段 左/鈴木もぐら、1987年5月13日生まれ、千葉県出身。右/水川かたまり、90年7月22日生まれ、岡山県出身。2019年11月には「時効警察はじめました」(テレ朝系)に伝説の芸人役でそろって出演した。吉本興業所属

お笑い好きになったきっかけは「『ポンキッキーズ』内の『爆チュー問題』が好きで。高校の時にそのことを友達に話したら、爆笑問題さんのラジオを聴くように勧められて、そこからいろんな芸人さんのラジオも聴くようになり、ハマりました」(かたまり)、「親父がバラエティー好きで、物心ついたときから『ウッチャンナンチャンのやるならやらねば!』『ダウンタウンのごっつええ感じ』あたりを見ていて自然と好きになりました」(もぐら)。

結成は2012年。それぞれ大学を中退したのちにNSC(吉本総合芸能学院)東京校で出会い、もぐらから誘う形でコンビを結成した。「水川の第一印象は“暗い奴”だったんですけど、コントが好きそうだったんで声をかけました」と、もぐら。かたまりは「初めてしゃべったら、めちゃめちゃ借金があるうえに大阪芸大を中退したプロフィルが、うちの親父と一緒だったんです(笑)。気が合うんじゃないかと思って組むことにしました」と明かした。

テレビ出演が増え始めたのは18年12月。「『有吉のお饅頭が貰える演芸会』に出させてもらってから、声をかけていただく機会が増えました」(もぐら)。昨年3月に「ダウンタウンのガキの使いやあらへんで!」で銀杏BOYZの峯田和伸が、高校時代のもぐらとの交流を明かしたことが話題になったほか、7月の「ゴッドタン」(テレ東系)で「とにかくヤバい若手芸人部門」の1位に輝いたのも人気を後押しした。

ブレークのチャンスは以前にもあった。「ぐるナイ!おもしろ荘」(日テレ系)の17年元日放送回にオーディションを勝ち抜いて出演していたのだ。その回ではブルゾンちえみが頭一つ抜けた形で売れっ子の仲間入りを果たした。もぐらは「売れるってこういうことなんだなって。負けた人間ですけど、モンスターが誕生した瞬間を目の前で見られたのはよかった(笑)」と振り返った。

2人はコントの評価が高いだけでなく、ラジオのレギュラー番組「空気階段の踊り場」(TBSラジオ)も人気を支える柱になっている。借金まみれのもぐらと、マザコンのかたまり、という等身大のパーソナリティーが打ち出され、番組内で好きな人に告白したり、プロポーズしたりと、常に近況をリスナーと分かち合ってきた。かたまりは「当初はテレビに出ているわけでもないので、ライブに出て、バイトに行って、みたいな飾りようがない話をするしかなかったんです。今思えば、カッコつけないのがよかったのかな」と語る。

目指す芸人像は「全国でコントライブを一番大きい規模で回っている東京03さんがお手本です。それとラジオはずっと続けていきたい」と、かたまり。もぐらは「CMに出たいです(笑)。とんでもない仕事来たよ!っていうのを味わってみたい」。20年はさらなる飛躍が期待できそうだ。

(「日経エンタテインメント!」1月号の記事を再構成 文/遠藤敏文 写真/中村嘉昭)

[日経MJ2020年1月31日付]