6年ぶりの『007』シリーズ新作『007/ノー・タイム・トゥ・ダイ 』は25作目の節目。また21作目『カジノ・ロワイヤル』(2006年)からジェームズ・ボンドを演じてきたダニエル・クレイグが今作で最後となる。(C)Danjaq, LLC and Metro-Goldwyn-Mayer Studios Inc.. All Rights Reserved.

6年ぶりの『007』シリーズ新作『007/ノー・タイム・トゥ・ダイ 』は25作目の節目。また21作目『カジノ・ロワイヤル』(2006年)からジェームズ・ボンドを演じてきたダニエル・クレイグが今作で最後となる。

ボンドは所属していた英国諜報組織MI6を5年前に退き、ジャマイカで穏やかに暮らしていた。彼の元にCIA出身の旧友フィリックス・ライターが助けを求めてやってくる。任務は誘拐された科学者を救出すること。やがて彼は人類に脅威をもたらす最新技術を保有する黒幕を追う。

『007』シリーズは現実の世界を踏まえて、敵役の背景や狙いに反映してきた。クレイグは、シリーズの敵役についてこう語る。「私たちが製作の段階で話し合うのは、恐怖についてだ。作品に登場する悪役が何をしようとしているのか。世界を滅ぼしたいのか、それとも支配したいのか。ストーリーのなかで起こる出来事を検討するとき、必然的に現実に起きていることと関連づけて考える」

今作の敵役サフィンを演じるのは『ボヘミアン・ラプソディ』のラミ・マレック。「サフィンは人を操るのがうまくて魅力的で、これまで登場してきたどんな悪役のタイプにも当てはまらない。キャラクター構築にあたって、キャリー(・ジョージ・フクナガ監督)と“何が人々を怖がらせるのか”について話し合った。真の非道とは何か、何が恐ろしいまでに残虐な行為を可能にしているのか。その点についての真実を見つけることだった」(マレック)

今作の敵役サフィンを演じるのは『ボヘミアン・ラプソディ』のラミ・マレック

■力強い視覚スタイルを持つフクナガ監督

シリーズの大きな見どころであるアクションや新兵器は盛りだくさん。自分の足に縄をしばって橋の上からダイブ、長い階段を駆け上がるバイクチェイス、小型ポッドが飛行機の格納庫から急発進して空中に落下すると、両翼を広げ小型飛行機へと早変わり。ボンドが乗る車が多くの敵に包囲されて銃撃を受けるが、ヘッドライトからマシンガンが飛び出て、車を360度回転させながら発砲する。

監督・共同脚本を務めるのはキャリー・ジョージ・フクナガ。テレビシリーズ『TRUE DETECTIVE/二人の刑事』でシーズン1全8話を監督し、エミー賞ドラマシリーズ部門監督賞を受賞。アフリカの内戦を題材にした『ビースト・オブ・ノー・ネーション』の脚本・監督を手掛け、ホラー映画『IT/イット “それ”が見えたら、終わり。』にも脚本家として参加している。

クレイグは、「彼は、力強い視覚スタイルを持った監督だ。作品の雰囲気やスタイルにおいても(007は)過去作との一貫性が必要だから、映画製作における知識と力強い表現力を持った監督を起用することが重要だった。キャリーは若いから(1977年生まれ)スタミナもある。7カ月も撮影が続くからね。それに当時は、ストーリーに頻繁に微調整を加えている段階だったから、彼が脚本家でもある点も重要な要素だった」と話す。

ビリー・アイリッシュが歌う主題歌『No Time To Die』は一足早く今年のグラミー賞で最優秀楽曲賞(映画、テレビ、その他映像部門)を受賞している。(公開中、東宝東和配給)

(ライター 相良智弘)

[日経エンタテインメント! 2021年10月号の記事を再構成]