血管にこぶができて突然破裂する大動脈瘤(りゅう)破裂は普段は自覚症状がほとんどなく、いったん発症すると命を落とす危険がある。50歳代以降で多発するが、多くは自分が大動脈瘤を持っていることを知らないまま大きくなる。コンピューター断層撮影装置(CT)検査で発見し、破裂する前に人工血管に置き換えるなどの手術を検討するよう専門家は勧める。

左が人工血管を入れた大動脈、右が手術前の大動脈瘤=一部画像処理しています

千葉県松戸市に住む男性(61)は、1月上旬に川崎幸病院(川崎市)の大動脈センターで胸部にできた大動脈瘤の除去手術を受けた。喉元からみぞおちまでを切開し動脈約15センチを切り取り、人工血管に置き換えた。手術は8時間ほどかかった。3月中旬に退院。経過をみるため3カ月ごとの通院が必要だが、夏までには元の生活に戻れる見込みだ。「ハイキングが趣味。早く出かけたい」と笑う。

体の中心を通り心臓から全身に血液を運ぶ大動脈は胸部で直径が約2.5〜3センチ、腹部で約2センチある。この大動脈の血管の壁が動脈硬化を起こした結果、血圧に耐えられずにもろくなり、こぶができる。数年から数十年かけて徐々に太くなる。風船に少しずつ空気を入れて膨らませると、やがて破裂するイメージだ。

こぶが破裂しそうになると胸や背中、腹部に激しい痛みが起こる。大島晋・大動脈外科部長は、「今までに経験したことのない激痛で、血圧が低下し、ショック状態に陥る」と説明する。胸やおなかの中に大量に出血し、脳や肝臓、腎臓などへの血流が阻害されてしまうと命を落とす可能性がある。

大動脈瘤は大動脈があるところにはどこにでもできる可能性がある。心臓付近の胸部から腹部にできることが多い。

やっかいなのは、気づかないまま大きくなることだ。膨らんだこぶによって食道が圧迫されて食べ物を飲み込むのが困難になったり、声帯の神経が圧迫されて声がかすれた状態になったりすることがあるが、本人は深刻な状況とは自覚できず放置されることも多い。

こぶができると自然治癒は望めない。破裂する患者数は50代から増え始め、60代から70代が大半だという。