日本人のお金に対する行動規範として、預貯金指向が顕著に強いことは世界的に有名です。残念ながら、いまやすべての生活者が日本の将来を悲観していると言っても過言ではありません。そこはかとなき不安感を和らげようと、できるだけ多くのお金を手元に抱えておこうとしているため、現預金残高は右肩上がりで増え続けています。

■GDPの倍近い現預金を保有する日本人

気が付けば、日本の人口約1億2700万人が全体で保有する現預金残高は、1000兆円の大台に迫っています。昨年度の日本のGDP(国内総生産)は550兆円で、一国の経済規模の倍近い現預金を保有する国民は世界的にも類をみません。日本にはあまたの「ガラパゴス現象」がみられますが、預貯金偏重の行動規範も立派なガラパゴスなのです。

ただ、ヤングの皆さんは物心ついたときから今に至るまで、銀行や郵便局に預けた預貯金にまとまった利息が付与された経験はないはずです。

日本では過去20年余り経済成長が停滞し続けていたことで、日銀が調節する市場金利はずっとゼロ水準でした。3年前からはマイナス金利政策が導入されるほどで、今後もおそらく当分の間、超低金利時代が続くでしょう。その結果、預貯金の利息がまったく得られない状況も続くと考えなければなりません。

■1%の利息で毎年10兆円のリターン

ヤングの皆さんに気付いてほしいことがあります。金利がない預貯金とは、マクロでみたときにどれだけの得べかりし富の逸失になるかということです。たった1%でも利息が付けば、1000兆円から毎年10兆円のリターンが生み出されるわけで、これは日本の経済規模に換算して1.8%の経済成長に相当するのです。そしてこのリターンは私たち生活者が保有している預貯金から生み出されるので、私たちが受け取れるものなのです。

金融庁は数年前からこの事実に鑑み、銀行改革を進めています。銀行が私たち生活者の預金をしっかりと貸し出して経済活動の中に働きに出す努力を高めれば、預金利息が付与される資金循環に回帰させられるはずだからです。