Case:64 夫の不倫が原因で、いま離婚協議中です。不倫相手に対しても慰謝料を請求しないと腹の虫がおさまらないと思っていたところ、最高裁で「不倫相手に対する離婚慰謝料は認められない」という判決が出たと聞きました。不倫相手に対する慰謝料請求はできないのでしょうか。

■最高裁が初判断

今年の2月19日、

「離婚の慰謝料、不倫相手に原則請求できず」最高裁初判断

などの見出しが新聞各紙で報じられました。記事を読んだ人は一瞬「えっ?」と思われたのではないでしょうか。新聞の第一報があまり詳細でなかったこともあり、正直言いまして、私も最初は首をひねりました。

夫または妻が配偶者以外の異性と性的関係を持つことを世間一般には「不倫」と言っていますが、民法は「不貞」と呼んでおり、民法が規定する離婚原因の代表選手です。不貞行為をされた配偶者は、相手配偶者に対して離婚の請求をすることができ、さらに、その不貞行為で離婚を余儀なくされ、離婚そのものによる精神的苦痛を被ったことを理由として相手配偶者に対して慰謝料の請求が可能です。これが「離婚慰謝料」です。

他方、不貞行為の相手方(不倫相手)について、判例は「夫婦の一方の配偶者と肉体関係を持った第三者は、故意又は過失がある限り、他方の配偶者の夫又は妻としての権利を侵害し、その行為は違法性を帯び、他方の配偶者の被った精神上の苦痛を慰謝すべき義務がある」と解し、また、不倫を「婚姻共同生活の平和の維持という権利又は法的保護に値する利益を侵害する」行為と位置づけ、不倫相手に対する慰謝料請求も認めてきました。これが「不貞慰謝料」です。

■慰謝料は「連帯債務」

例えば、妻Aと夫Bの夫婦の離婚原因がBと第三者Cの不倫である場合、AはBに対して離婚慰謝料を求めることができるほか、Cには不貞慰謝料の請求も可能です。また、AはB・C双方を被告にすることもできます。若干ややこしいのは、この場合、不貞慰謝料はBとCとの共同不法行為であるとして、Bに対しても不貞慰謝料が認められます。