今月のマネーハックのテーマは「年金」です。国による年金の財政検証結果(年金制度の将来見通し)から、年金に関する最新の「読み方」「つきあい方」を考えています。

いまだに年金破綻論が幅を利かせています。しかし、現実的に破綻は考えにくいというのが最新の財政検証結果の読み方である、と先週の「年金破綻リスクあるか 『5年前より悪くなっていない』」で解説しました。

今週は「支え手を増やす」というよく聞くフレーズについて、マネーハックの視点で考えてみましょう。

■支え手とは「負担はするが年金はもらえない人」ではない

年金の財政検証結果で徐々にその重要性が高まっているのは、オプション試算と呼ばれる追加シミュレーションの数字です。

5年前も同様の試算が行われていますが、今回はより情報量が増えています。現在行われている制度改正に向けた議論の論拠としても用いられています。

議論の中に、「支え手を増やす」というテーマがあります。公的年金財政は保険料収入と年金給付のバランスを長期的に取ることを目指しています。ですから、現役世代がよりたくさん保険料を納める立場になることや、60代でも保険料を納める立場であり続けてもらえることは、年金財政的に重要です。

ただ、この議論は「負担させられる」というイメージで誤解されているようにも思います。「死ぬまで働けというのか」「保険料は納めてもどうせもらえないに違いない」と批判する人がいますが、これはおそらく「支え手を増やす」という言葉が一人歩きしてしまった結果なのでしょう。

保険料を納めることは確かに年金制度の支え手になることですが、実は「将来はもらい手になる」こととセットでもあります。

■年金加入者の増加は給付水準の向上につながる

私たちの年金の給付水準(給付額)は何もしなくても上がるわけではありません。現状の制度では「給付額の計算式を書き換えて全国民の年金額を増やす」ことはできません。それは保険料収入と年金給付のバランスを取るという方針に反するからです。

しかし、保険料を納める立場になることで、私たちは「自分の年金」の給付額を上げることができます。