インターネット証券各社が顧客をつなぎ留めようと「手数料ゼロ」を競っている。投資信託の購入手数料、株式の売買手数料といったコストが下がり、個人投資家にとってはメリットだ。もっとも、手数料ゼロをうたう一方で、その他のコストが増えたケースもある。2019年末に一気に進んだネット証券各社の取り組みをまとめた。

■大手5社が競う

投信はSBI、楽天、松井、auカブコム、マネックスのネット証券大手5社で購入手数料がすべて無料になった。昨年11月にフィデリティ証券が「ネット経由の投信販売をすべて無料化する」と発表。ネット各社が追随した。

これまで購入金額の数%の手数料がかかっていた「ブルベア型」などの投信も新たに初期コストがゼロになった。

投信は運用会社、販売会社、信託銀行が分け合う「信託報酬」も下がっている。SBIアセットマネジメントが昨年9月に米バンガードと設定した米国株投信は信託報酬(税込み、以下同)が年0.0938%と日本で初めて0.1%を下回り、3カ月半で運用資産が100億円を超えた。

上場投資信託(ETF)では三菱UFJ国際投信が今月、信託報酬が年0.0858%と世界最低水準のグローバル株ETFを設定した。

ETFは国内外で購入手数料ゼロが増えている。マネックス、SBI、楽天では「S&P500」など米国ETFの9銘柄が無料だ。国内ETFも各社が約100銘柄で無料本数の「業界最多」を競っている。

現物株をめぐっては、松井、楽天、SBIが売買手数料がかからない1日当たり売買代金の上限を10万円から50万円に引き上げた。最小売買単位であれば、上場企業の9割以上が売買手数料ゼロで買える。東京都の投資歴3年の男性(26)は「個別株にトライしやすくなる」と喜ぶ。

SBIとauカブコムは売買代金にかかわらず現物株の手数料を将来ゼロにする「予定」を明らかにした。現物株では投資家からの収入が完全になくなるということだ。