「離婚テック」をご存じだろうか。米マイクロソフトの創業者、ビル・ゲイツ氏や米アマゾン・ドット・コムの創業者、ジェフ・ベゾス氏など、米国の大富豪が相次いで離婚し、財産分与の額が話題になった。米国では一般人でも離婚に多額の費用と時間がかかる。精神的な苦痛もある。こうした離婚に関わる課題を人工知能(AI)などのテクノロジーで解消するスタートアップがある。

米国で離婚するのは手続きが煩雑で、弁護士などの専門家に支払う費用がかさみ、時間もかかる。円満離婚でも居住地の裁判所に認められないと離婚が成立しないのが一般的だからだ。平均で200万円程度の費用がかかるという。

米国ではこうした離婚を取り巻く課題をAIなどのテクノロジーで解決するスタートアップが存在する。いわば「ディボース(離婚)テック」である。提供サービスには大きく3つある。(1)共同親権を持つ親と子を支援するサービス、(2)離婚後の家計のシミュレーション、設計のサービス、(3)手続きや円満解決を支援するサービスだ。

特に、共同親権を持つ親と子を支援するサービスは、各社がサービス開発でしのぎを削っている。

■両親と子どもを、AIやアプリで仲介

coParenterのアプリ画面

カリフォルニア州ロサンゼルスのハイフナス(Hyphenus)が提供するアプリ「コーパレンター(coParenter)」は両親同士や子どもがメッセージをやり取りしたり、スケジュールや必要経費の支出可否を調整したりできる機能を提供している。お迎えの際などに子どもの位置情報も管理できる。

特徴は2つある。1つはAIが発言をいさめてくれること。激高して相手に不適切なメッセージを送ろうとすると警告してくれる。問題が複雑化した場合には、弁護士など専門家のアドバイスを受けることもできる。

coParenterでメッセージをやり取りしているところ。不適切なメッセージを指摘してくれる

もう1つは片方の親だけでもサービスを利用できることだ。両方の親がサービスを利用することに同意しない場合もある。サービスは1ユーザーで年間払いの場合119.99ドル(月払いの場合12ドル99セント)。2ユーザーで年間支払いの場合は199.99ドルとなる。

同じくロサンゼルスのアンサンブルテクノロジーズ(Ensemble Technologies)は、子育て費用など、共同親権を持つ両親の間のお金のやり取りをスムーズにする。

Ensembleのアプリ画面

養育費は食料や食事、住居、衣類のみを対象としているため、学費や医療費が発生すると、両親の間でテキストメッセージを何度もやり取りして負担を決めることが多いという。アンサンブルは子どもがスマホアプリで、生活にかかった費用をレシートなどで両親に報告。その上で、両親の間で取り決めた配分による負担金額を提示する。