普通に仕事をしていても、一生懸命やっていればいろんなことが自然と身についていくものです。たとえ会社が評価してくれなくても、力が蓄えられていく。社外の友人たちには、テレビなどで取材があると会社内での序列を超えて、その人にオファーが舞い込むといった「この道で日本一」の人がいっぱいいます。そうした生き方もあるのではないでしょうか。

鎌田さんは「『こういうのできたらいいな』と思っている人は行動をいつ、どう起こすか考えた方がいい」と助言する

ちょっとの思いつきは誰でもできる。けれど、それを行動にまでしていく人は数%しかいないでしょう。自らが汗をかいてやった経験ほど伝わるものはないと思います。何より重要なのは行動です。共感しても、行動に移さなければそれだけで終わってしまいます。「こういうのができたらいいな」と思っていることがある人は、行動をいつどう起こすか、考えた方がいい。「何かしたい」と思うことがあるなら、小さなことでもいいから何か行動に移してみてはいかがでしょうか。

「『好きなこと』が見えてくるのは40歳を過ぎてから」。起業して取り組む今の仕事はJR東日本時代、地産品の販路拡大などに取り組んでその魅力を知り、地方や農家を元気にしたいとの思いを抱いたことから実現したものだ。「中途半端なモノは売れない。それでは1次生産者に還元できず、産地が変われない」と産地とは緩やかな関係を持ちつつ、「アウトプットはシビアに」をモットーに事業を深めていきたいと話す。大企業に勤める副業人材など5人で始めた会社は、事業をスタートさせて2年目のいま、15人に拡大。最後に、挑戦を続ける鎌田さんを支える言葉を尋ねた。

「いくつになっても初めてのことだらけ」

JR東日本でエキナカ事業を立ち上げ、39歳でその運営を担う子会社の社長に就任後、当時のJR東日本社長だった大塚陸毅さんにある懇親会で言われた言葉です。

実は経営トップになることを打診された際、1度は断りました。ビジネスには正解がありません。何が正しいのかも分からない。自分がきちんと正しい判断をくだせるか自信がなかった。

そのことを打ち明けると、大塚さんは「俺は還暦を過ぎ、社長になっても新しいことばかりだ。いくつになっても初めてのことだらけ。39歳で見えないことがわからなくて怖いと言われてもしょうがないな。人生そんなもんなのに」と笑っておっしゃいました。このなかで、先ほど挙げた言葉が特に印象に残っています。

大塚さんほどの方ですら、そうなのですから、初めてのことを恐れなくていい。むしろ、その謙虚さをこそ、見習うべきだと思いました。大塚さんはさらに、こうも続けられました。「君には良心がないのか」。「あります」と答えると、それなら大丈夫だということで全うする覚悟ができました。というのも、大塚さんとのそんなやりとりから、「経営の危機管理の基本は良心だ。それがあれば経営は成り立っていく」という風に教えていただいたように感じたからです。

完璧な人はいません。私自身は「農産物を育て加工している人の思いに触れていただけるように」と考えながら、ライフワークとしてONE・GLOCALでのビジネスに取り組んでいます。仕事と生き方は相反するものではなく、むしろ一体となってその人の人生を形づくるもの、というのが私の考え方です。皆さんのキャリアライフが「まずは行動」で幸せなものになることを願っています。

(佐々木玲子)