このところ注目が高まる半日断食。血糖値や血圧を下げるなど多くの効用が確認されている。何日も続ける断食と違って、手軽にできて危険も少ない。なぜ断食は体に良いのか、実行する際の注意点を知っておこう。

体重減少、血糖値や血圧の低下、体内の炎症を抑える、腸内の善玉菌を増やす――。14時間以上ものを食べない、いわゆる「半日断食」は医学的に多くの効用が確認されている。細胞内で不要なたんぱく質を分解するオートファジーが進み、細胞のがん化や老化を抑える作用もある。

なぜ、そのようなことが起こるのか。あおき内科さいたま糖尿病クリニック(さいたま市)の青木厚院長は「空腹状態が長時間続くとケトン体が代謝されるようになるため」と説明する。

食事の直後にエネルギー源になるのは血液中のブドウ糖だ。食後4時間以上経(た)つと、肝臓や筋肉に蓄えたグリコーゲンを分解してブドウ糖が作られる。「10時間以上経つとグリコーゲンも枯渇し、ブドウ糖の代わりにケトン体がエネルギー源として使われるようになる」(青木院長)という。

ケトン体は中性脂肪やたんぱく質を分解して作られる。そのため内臓脂肪が減り、高血圧や高血糖が改善すると考えられている。また、ケトン体が代謝されるようになるとオートファジーも進む。

論文は16時間断食の効果を調べたものが多いが、時間栄養学に詳しい早稲田大学先端生命医科学センターの柴田重信教授は「14時間でも効果がある。最初は12時間から始めても良い」と話す。

現代人に実行しやすいのは朝食を抜くことだろう。例えば午後8時に夕食を取り、翌日の正午まで何も食べなければ16時間断食になる。しかし「朝食を抜くのは問題がある」と柴田教授は注意する。

多くの疫学調査から、朝食を抜くと太りやすくなることが分かっている。体を動かしたくなくなり、自然と運動量が減る。脳と末梢の体内時計に1時間以上ずれが起こり、午前中のパフォーマンスが低下する。

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また、午前8時から午後10時まで「昼に14時間絶食する」場合と、午後6時から午前8時まで「夜に14時間絶食する」場合とでは、同じものを食べても食後血糖値の上がり方が違うという。

「夜は血糖値を下げるインスリンの分泌が減り、効き目が悪くなるので血糖値が上がりやすい。血糖値の上昇を防ぐためにも、朝食を抜かず、夕食を早めに取ることが大切」と柴田教授は助言する。午前7時から8時に朝食を取るとして、昼食を挟み、午後5時から6時までに夕食を取れば理想的な14時間断食になる。

断食中に口にできるのは水かカロリーのないお茶のみ。「つらかったらナッツを食べても良い」(青木院長)。その時点で断食は終わるが、ダイエット効果はある。

何日も続ける断食と違い、半日断食では断食前の準備食や終了後の回復食を気にする必要はない。断食中にしてはいけないことも特にない。断食中は筋肉が減りやすいので適度な運動で刺激し、筋量を維持した方が良い。断食中に運動するとオートファジーもさらに活性化するという。