「スーツ・オブ・ザ・イヤー2020」は今年も独自の挑戦を続け、際立つ存在感を示した5人を表彰した。新型コロナウイルスが世界中で猛威をふるい、多くの既成概念がリセットされるなか、新たな日常の基盤となる価値観を提示し、人々を勇気づけ、常に未来に目を向ける受賞者の方々のインタビューを連載する。一人ひとりの個性と響き合う、メッセージが込められたスーツにも注目していただきたい。

アート&カルチャー部門
鈴木保奈美さん
女優

■「2020年=スーツだった」

法律事務所を舞台としたフジテレビの月9ドラマ「SUITS/スーツ2」で弁護士、幸村チカ役を好演した。2018年に放映した「SUITS/スーツ」の続編。授賞式では「ずっとこのドラマの撮影をしてきて、私にとって2020年=スーツ。その1年を象徴する賞をいただき、大変うれしいです」と喜びを語った。

10月上旬の取材日。この時にはまだドラマの最終回の撮影が残っていた。鈴木さんにとって久々の月9ドラマは「大きなチャレンジでした」。ところが、新型コロナウイルス感染拡大の影響で、撮影が3カ月ほど中断する事態に見舞われていた。「中断したのは予想以上にショック」と本音を明かした。後日、撮影が再開し、10月中旬に最終回が無事放映された。実にクランクインから8カ月たっていた。

俳優という仕事は、医療や飲食業などと違い、命に関わる仕事ではない。ほんとうにやる意味があるのか、やっていていいのだろうか――。「仕事に携わる意味を考えたり、もしかしたらもう二度と仕事ができなくなってしまうかもと考えたり……」。撮影中断の期間中、こんな葛藤が続き、大きな不安に襲われ、気持ちが沈んでしまったという。そして、コロナによって図らずも、自分の意外な一面を知ることになった。「意外と弱かったんだなあ、と」

「思ったより時間がビュンビュン過ぎていきます。なので一瞬一瞬を大事にしなくちゃなと最近とくに思います」

自らの仕事の意義を問い続けながら、この中断期間を奇貨として数多くの映画やドラマを見た。出演番組の原作である米テレビドラマ「SUITS」も見直した。すると「やっぱり楽しかった」。30分でも1時間でもドラマや映画は見る人をリラックスさせることができる、と気付いた。「皆の気持ちを前向きにする、そのお手伝いがしたいなと思うようになりました」

3カ月という長い「休み」が明けたときに、いい状態で撮影に入れるよう、台本を読み返し勉強を続けた。「それがモチベーションになりましたね」