「クールビズという定義がなくなったら、日本も一皮むけたといえるのではないでしょうか」と話すフューチャー会長兼社長の金丸恭文さん(東京・品川のフューチャー本社)

IT(情報技術)コンサルティング会社、フューチャー会長兼社長の金丸恭文さんが起業したのは日本がバブル景気まっただ中の1989年。以来、ITビジネスの最先端拠点である米シリコンバレーに通い詰めてきた。そこで目にしたのは、キャンパスのようなオフィスで働くTシャツ&ジーンズの起業家たち。西海岸でベンチャーの新しい潮流を生み出すエネルギーと、慣例に縛られない自由なスタイルに大いに影響を受けた。政府、官公庁、産業界と様々な分野のイノベーションを支援してきた金丸さんは、これからのファッションをどう考えているのか。未来志向の装い、働く姿を熱く語ってもらった。

――男性も女性も社内はラフな格好の方が多いですね。

「社内全体がシリコンバレー風といいますか、多くのスタッフがジーンズとTシャツで出社しています。スーツの社員はほとんどいないでしょ。対外的には重厚長大の大企業のお客さまがほとんどで、僕はお客さま接点のところにいるため、相手やTPOに合わせて服装を決めています。今日は年上の方との会合があるのでスーツですが、外部の人とお会いしないときはジャケット&パンツ、デニムスタイルといった軽装も結構多いですよ」

■Tシャツとジーンズ 西海岸スタイルの「理」

――創業時から西海岸カルチャーの影響を大きく受けていたのですね。

「そうです。89年にフューチャーシステムコンサルティング(現フューチャー)を立ち上げましたが、それ以前からシリコンバレーと日本を行き来していました。シリコンバレーは、あらかじめ『スーツで行く』と伝えていないと、びっくりされてしまうようなところ。若い人が起業に挑戦するのですから、スーツにお金を使うくらいならR&D(研究開発)にお金を使った方がいい、着るものはTシャツとジーンズでいいよねっていう世界です」

さまざまなメガネを愛用する。この日はオリバーピープルズだ

――90年代から社会のIT化が進むにつれて、服装にもパラダイムシフトが起こったといわれています。

「我々の業界ではスーツに命をかけている人はいませんね。マーク・ザッカーバーグ(フェイスブック最高経営責任者)もスティーブ・ジョブズ(アップル共同創業者)もプレゼンはTシャツですし。彼らが相手にしているマーケットを考えると、アップルのスマートフォンを最初に使ってくれるユーザーは若者。スーツを着てビシッとキメたって距離が遠くなるだけです。ですから彼らの服装は理にかなっているんじゃないかなと思います」