どんな人でも人生で1度は不眠を経験するという(イラストはイメージ=PIXTA)不眠には寝つきの問題(入眠困難)、途中で目が覚めてしまって再入眠に時間がかかってしまう問題(睡眠維持困難)、朝早くに目が覚めてしまうとその後は眠れなくなってしまう問題(早朝覚醒)があります。どんな人でも人生で1度は不眠を経験します。しかし、不眠に悩む日本人は5分の1程度と言われています。不眠を経験したのに不眠に悩む人と悩まない人がいるのはなぜでしょうか。今回はその謎に迫ってみました。

■「不眠恐怖の形成」が分かれ道

一般的に不眠は図1のような経過をたどります。もともと不眠になりやすい特徴として、性別(女性の方が罹患=りかん=しやすい)や性格特性(心配性や完璧主義など)などが指摘されていますが、そこに何らかのストレスが加わると、人は過覚醒の状態になります。ストレスの原因は本人が気づいている場合もあれば、そうでない場合もあります。この時の過覚醒はいわゆる危険信号を察知した際の適応的な反応で、動物全般に備わっている能力です。たいていは2〜3日間ほぼ眠れない状態になります。物理的に眠れないため、日常生活の支障も伴いますが、時間経過とともに不眠症状は落ち着いてきます(急性不眠)。

これらの不眠症状は心身ともに疲弊させるため、「またこんな不眠になったらどうしよう」と、不眠に対して恐怖感を抱くようになってしまうことがあります(不眠恐怖の形成)。これが不眠に悩まされ続けるかどうか(慢性不眠)の分かれ道です。不眠恐怖が形成されてしまうと、これまで気にしていなかった眠りの挙動に敏感になってしまい、毎日、眠れるかどうかに一喜一憂してしまいます。そして、NGワード・NGツール(「不眠の敵 目がさえてしまうNGツールとNGワード」参照)に引っかかりやすくなり、不眠の悪循環が生まれるのです。