2021年9月3日発売の「日経トレンディ2021年10月号」では、「新興小売りチェーン」を特集。その中からここでは、入門者向けの工具、塗料、工具箱などから成るカインズのDIY用品「Kumimokuシリーズ」を取り上げる。価格が手ごろでデザインも派手過ぎず人気だが、その実力はどうか。DIYアドバイザーの協力を得て、その実力を検証する。

新型コロナウイルス禍により、自宅で過ごす時間が増えたこの1年。カインズに限らずホームセンターの各チェーンでは、日曜大工による小物製作や家屋のメンテナンスなどでDIY用品が好調だ。

カインズは、コロナ禍前の2019年11月から「DIYer100万人プロジェクト」というコンセプトを掲げ、DIY入門者向けの教室(ワークショップ)や、提携メーカーとの新商品開発を進めてきた。

また、DIY入門者向けのシリーズとして「Kumimoku」ブランドを立ち上げ、低価格電動工具や簡単に作れる木工キットなどをシリーズ化している。Kumimokuの電動工具なら、ボッシュやマキタなどプロ向け工具メーカーの製品の半額以下で入手可能だ。今回は、DIYアドバイザーの番匠智香子氏の協力を得て、カインズの低価格電動工具の実力を他社と比較した。

チェックした人
DIYアドバイザー 番匠智香子氏
北海道教育大学木材工芸研究室を卒業後、電動工具メーカーに勤務。スウェーデンの工芸学校でも学んだ

まずは、カインズの電動工具の中で最も売れている、充電式の小型ドライバー「3.6VミニドライバーKDC-01」(実勢価格2580円、税込み、以下同)をチェック。入門用工具メーカーとして定評があるブラック・アンド・デッカーの「CS3652LC」(4410円)と比べると2000円近く安い。しかし、値段だけで見れば、IKEAがさらに安価な「FIXA 3.6V」(1499円)を販売している。この3製品を比べた。

電動ミニドライバー

【TRENDY BEST BUY】ねじ締めスピードは並だがドリル対応はナンバーワン

Kumimoku 3.6Vミニドライバー KDC-01

重さ/340グラム、最大トルク/4.0ニュートンメートル ドリルとプラスドライバーのみ。「木工でマイナスドライバーはほぼ使わないので良い割り切り」(番匠氏) 長さ50ミリメートルのねじを木材に打ち込むまでの所要時間を測った。3製品で違いは少なかった ブラック・アンド・デッカーよりやや暗いが十分な明るさ。トリガー半押しでつけばもっと良かった ビットを取り外す際、装着部分を引き出してロックを解除。ロック機構があるのでドリルの使い勝手が増す

まず、ドリルドライバーとしての性能に差があるのかを調べるため、50ミリメートルのねじを打ち込む実験を行った。ねじを締める力である「最大トルク」は、ブラック・アンド・デッカー、カインズ、IKEAの順に大きいが、今回のテストではIKEAが最も速く、次いでブラック・アンド・デッカー。カインズは最も遅かった。ただ、差は2秒程度なので、「通常の木工作ならそこまで気にならない」(番匠氏)とは言える。

カインズが優れていたのは、ねじ穴などを開けるドリルとしての性能だ。ビットが本体から外れにくいようにロックする機構がカインズだけにあり、他の2機種は磁石でビットを留める仕様だった。磁石の場合、ドリルで穴を開けた後にドライバーを引き抜いただけで、ドリルビットが外れることがある。「ドライバーしか使わないならIKEAで十分だが、多少はドリルも使うならカインズを選んだほうが満足できそう」(番匠氏)だ。

価格がより高いブラック・アンド・デッカーには、マイクロUSB端子で充電できる利点があるが、ドリルドライバーとしての魅力はカインズも負けていないと言える。