「イスラム」と口にした途端、相手の声色が変わった。熊本市に住むインドネシア人のマーロ・スイスワヒュさん(41)は昨年4月、熊本地震に遭遇した。その衝撃もさることながら、仲間が避難所に電話したときのショックも大きかった。

 イスラム教の礼拝堂「モスク」。市内には1カ所あり、代表を務める。地震直後、全国の教徒から支援物資が続々と寄せられた。県内に300人ほどいる教徒には十分すぎる。そこで避難所への提供を申し出た。

 数カ所に電話し、全て断られた。「イスラムのせいだったのだろうと思うと、すごく悲しかった」。試しに「外国人コミュニティーですが」と名乗ると、すんなり受け入れられた。複雑な思いを抱えながらも連日、手分けして物資を運んだ。カレーの炊き出しにも取り組んだ。

 10日ほどたったころだった。「イスラム」と口にしても相手の顔色が変わらなくなった。顔の見える関係の大切さを改めて実感した。