記者コラム
 目を疑った。福岡市内の路地で、そばを通った宅配車のドライバーが運転しながらカップ麺をすすっていた。器用に肘でハンドルを操作している。人手不足が伝わる宅配業界は「食事の時間も取れないほど忙しいのか」と思うと危険な運転への怒りより、気の毒な思いが湧いてきた。

 私も新人記者だった約25年前「食事運転」をしたことがある。取材先から戻る途中、時間がなくてハンドルの上に弁当を載せてかき込んだ。早く戻らないと締め切りに間に合わないと必死だった。

 警察庁によると、道路交通法は運転中の携帯電話使用を禁止しているが、運転中の食事を直接禁じる規定はないという。ただ、悪質なケースは安全運転義務違反などに問われるそうだ。「取り締まり強化より前にやるべきことがある」と警察関係者。仕事に追われてむちゃな運転をしている同僚がいないか、まず周りが目を向けるべきだろう。