ミッちゃんとシゲちゃんは、一緒にエレベーターに乗り込んだ。1階に着き、扉が開く。1945年8月9日午前11時2分。一歩踏み出した瞬間、まぶしい光とともに爆風に吹き飛ばされた。

 その日、長崎医大付属病院外科病棟の屋上は、焼け付くような暑さだった。6歳の少年2人は空襲の爆弾の破片を探して遊んでいた。午前11時ごろ、「あった! こいは太かばい」。自慢げなシゲちゃんだったが、すぐに「便所に行きとうなったけん下に降りよう」とミッちゃんに駆け寄った。

 まだ小さい破片しか持っていなかったミッちゃんは首を振る。「もっと太かとば見つくっと!」。シゲちゃんは「こいばやっけん、お願いさ。一緒に行こう」。見つけたばかりの大きな破片を差し出した。

 長崎市の浦上地区にあった付属病院は爆心地から南東700メートル。エレベーターに乗るのが少しでも遅かったら、屋上で熱線を浴び灰になっていた。頑丈なコンクリート製の建物に守られたからこそ、2人は奇跡的に助かった。あの時、シゲちゃんが「下に降りよう」と言ったから。