韓国南東部にある慶尚南道陜川(ハプチョン)郡は6日、在韓被爆者の関連資料を展示した同国初の原爆資料館を郡内に開設した。被爆者が多く暮らすことから同郡は“韓国の広島”と呼ばれている。資料収集などで協力した韓国の被爆者団体は「悲惨な歴史を次世代に引き継いでいきたい」と話している。

 2階建ての資料館は、約100人の被爆者が暮らす医療施設「陜川原爆被害者福祉会館」(1996年開館)の横に建設された。広島への原爆投下から72年を迎えた6日に合わせて開館を準備してきた。

 1階には、原爆被害や原子爆弾を説明するパネルのほか、被爆者が持ち帰ったカメラやラジオ、当時の郵便貯金通帳などが展示されている。韓国原爆被害者協会が集めた証言集の一部も読むことができる。

 現在の韓国内の被爆者登録は2400人弱で、このうち同郡は約600人と最多だ。同協会陜川支部の沈鎮泰(シムジンテ)支部長(74)は「施設ができて良かったが、遅すぎた。徴用工などで日本に渡り、犠牲になった事実などをさらに調べる必要がある」と述べた。同資料館によると、広島、長崎では朝鮮半島出身者が計約5万人死亡したとされるが、詳細は不明という。

 平和活動に取り組む縁で開館式に出席した長崎県長与町の木村英人さん(73)は「日本からも資料を提供するなど協力し、核廃絶の訴えが韓国からも発信されるようになればいいのではないか」と話していた。

 開館式の後、福祉会館の敷地内では被爆者の追悼式が開かれた。

=2017/08/07付 西日本新聞朝刊=