九州北部を襲った豪雨は道路を寸断し、福岡、大分両県で数十カ所が孤立した。豪雨災害で、これだけの規模で同時多発的に孤立が起きたことはほとんどなかった。

 大分県日田市の小鹿田(おんた)集落は1週間孤立した。

 「田舎だから米や野菜はある。一番困ったのは水」。地元自治会長の坂本均さん(63)が振り返る。15世帯約30人が残された集落では、井戸水をくむ各家庭の電動ポンプが停電で動かなくなった。

 風呂などにためていた水は調理や飲料で減った。集落では発電機で水をくみ上げたが、その燃料もわずか。極力水を使わないよう、坂本さんは米をとがず、ガスの火で炊いて食べた。「ぬか臭いけど仕方なか」。電気復旧までの3日間、庭の池の水で食器を洗い、風呂も洗濯も我慢した。

 孤立した福岡県東峰村の岩屋地区では、岩屋公園管理棟に二十数人が身を寄せた。周囲を流れるのは茶色く濁った水。近くの湧き水で住民は救われた。ホースで引いて飲用にし、食材を持ち寄ったり防護ネットでシカを捕まえたりして、道路が通じるまでの3日間をしのいだ。