約2500人が死傷した八幡大空襲から72年を迎えた8日、市街地の大半を焼失した北九州市八幡東区では、空襲を次世代に語り継ぐ集いや犠牲者の追悼行事が開かれた。当時を知る高齢者、戦争の記憶の継承を志す大学生…。老若男女が改めて、平和への誓いを立てた。

 北九州市立大の学生有志グループ「太鼓と平和を考える学生連絡協議会」(太平連)は8日、八幡東区の平野市民センターで「平和音楽祭」を開いた。平和を願う演奏が披露され、少年時代に八幡大空襲に遭った岳藤(たけふじ)悟さん(85)=同区=が体験をつづった紙芝居を上演した。

 岳藤さんは10年ほど前から、地域の小学校などで紙芝居を通じて、体験を伝え続けている。空襲に遭ったのは13歳のときだった。学校に向かう途中に爆撃機が来襲。急いで自宅に戻る中、血を流して倒れている人を見つけても声を掛ける余裕はなかったという。

 「これが戦争なんだ」。家族は全員無事だったが家は全焼。約300人が亡くなったとされる小伊藤(こいと)山には、犠牲者の遺体が並んでいた。食べるものもなく野宿で過ごした日々を振り返り、岳藤さんは「宿命というにはあまりに残酷。今のような平和がいつまでも続くことを願う」と訴えた。

 紙芝居の後はギター、ピアノの演奏や「八幡空爆の日」と題した詩の朗読があった。音楽祭に先立ち、太平連の学生たちは市民センター近くの公園で、昔遊びを通じて地域のお年寄りと子どもが触れ合う催しも開いた。太平連の安武礼華さん(21)=北九州市立大3年=は「戦争を知る世代と知らない世代の交流が増え、記憶の継承につながったらいい」と話した。

 太平連は被爆地の長崎市を訪問し、千羽鶴の奉納や「小倉祇園太鼓」の披露を続けている。平和音楽祭は、昨年に続き2回目の開催。

=2017/08/09付 西日本新聞朝刊=