福岡県に3度目の緊急事態宣言が発出されて、12日で1カ月となった。酒を提供する飲食店への休業要請などが奏功して新型コロナウイルスの新規感染者数は大幅に減少したが、病床使用率はまだ5割前後で医療提供体制は予断を許さない状況が続いている。リバウンド(再拡大)をどう抑え込むかが課題で、仮に宣言が期限の20日で解除されても、飲食店への営業時間短縮などの要請は継続される見通しだ。

 県内の新規感染者数は、5月末から減少が顕著になってきた。ここ数日は50人前後で推移し、過去最多の634人(5月12日)から10分の1まで減少。感染状況を示す政府の判断指標では「まん延防止等重点措置」の目安となるステージ3の基準も下回っている。

 一方で、医療提供体制の改善は遅れている。5月下旬に8割を超えた病床使用率は10日時点で48%まで下がったが、最も深刻なステージ4(50%以上)をようやく脱したばかり。変異株は感染力が強く「緩むと一気に感染が増えて病床もすぐに逼迫(ひっぱく)する」(医療関係者)との不安が拭えない。

 政府は、福岡県の宣言解除も視野に入れるが、焦点は今後の対策だ。宣言に準じたまん延防止措置に移行するか、「少なくとも県単独での対策は不可避」(県幹部)との状況。服部誠太郎知事は「徹底した封じ込めが確認できるまで、段階的に措置を緩和していく」との考えを示しており、仮に酒提供の飲食店への休業要請などを取りやめたとしても、全面解除はまだ先のこととなりそうだ。

 同県では4月下旬に飲食店への時短要請を開始。だが感染力が強い変異株を抑え込めず、感染は急増した。インドで最初に確認された新たな変異株はさらに感染力が強いとされ、県内での流行が危惧されている。

 11日に記者会見した県保健医療介護部の白石博昭部長は今後の対応について、「リバウンドを考えると慎重に判断する必要がある。社会経済への影響を踏まえてどのような措置が効果的かシミュレーションしている」と話した。(黒石規之、御厨尚陽、華山哲幸)