
世界遺産「神宿る島」宗像・沖ノ島と関連遺産群を構成する福岡県宗像市の離島、沖ノ島の写真集「神坐(かみいま)す」(小学館)が出版された。撮影したのは写真家の山村善太郎さん(81)=神戸市在住。玄界灘の沖合約60キロに浮かび、厳しく制限されている沖ノ島の上陸許可を得て8年がかりで仕上げた。「自然への畏怖(いふ)、畏敬(いけい)を感じた。写真集を通して、僕の思いが共有できたらうれしい」と話している。
山村さんは、写真家の土門拳氏(1909〜90)の弟子の西川孟氏(1925〜2012)に師事。パリを拠点にした活動を経て、約15年前から日本各地のご神木や磐座(いわくら)をテーマにする。沖ノ島との出合いは、大阪市内の神社の宮司から「沖ノ島はすごい、ぜひ撮ってほしい」と紹介され、2017年5月、現地大祭に合わせて初めて島を訪れたという。
そこでの撮影も含めた磐座の写真集を出版したところ、宗像大社の葦津(あしづ)敬之宮司が感銘を受けた。17年7月の世界遺産登録後は原則として神職以外は島に上陸できないが、山村さんは許可を得てこれまでに5〜6回上陸。助手と2人で撮影ポイントを探し歩き、そのまま夜を明かして朝日を撮ったこともあった。
写真集「神坐す」に収めたのは、巨石や磐座などの祭事遺跡、勾玉(まがたま)などの遺物、星空と島影の夜景など多岐にわたり、カラーとモノクロで紹介している。山村さんが印象に残っている一枚がある。夜空を15秒露光して撮ると、鳥がはばたいているかのような雲が映った。「写真家なら、ある程度の写り具合は想像がつくが、想像を超えていた。自分の腕ではない、(神に)撮らせてもらってるんだなと感じた」と撮影を振り返った。
A4判、112ページ、3300円。 (大窪正一)


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