【1961年式 トヨペット クラウン ピックアップ Vol.2】
サイズの異なる2台を1台にする、お手本なき現物合わせに挑む
【1】から続く

 物語は、オーナーの2006年の誕生日から始まった。

 当時、ベースカーを所有していたムーンアイズの菅沼繁博社長と食事をしていた際に、今日が自分の誕生日であること、観音V8のピックアップ仕様を作りたい思いを告げたところ、快くクルマを譲ってもらえることが決定。引き取ったその日のうちにエンジンを降ろし、フロントのフレームもカットしてしまったエピソードからも彼の本気度がうかがえる。

 製作に関しては、付き合いのあるショップ「ジョニーズロッド&カスタム」の工場の一角に陣取り、プロに任せるべき大技はジョニーズに依頼しつつ、パーツの脱着や加工、手配などは、日々の仕事が終わったあとにショップに駆けつけ、自ら行ったという。そう、オーナーにとってクルマとは、所有し、ドライブするだけの存在ではなく、作る楽しみを与えてくれるものなのだ。だから、そんな毎日が約4年にわたって続いたことも苦ではなく、楽しい時間であったことが想像できる。クラウンピックアップに関しても、事前にミニカーを改造し、車高の落とし具合などを研究していたというから恐るべし。

 さて、いきなりエンジンを降ろすところからスタートしたプロジェクトだが、新たなパワートレーンのドナーとして選ばれたのは、1995年式のシボレー・カプリス。ここで最近のトヨタエンジン、例えばベースカーと同じ直4の3S型やV8の1UZ型に積み換える策はとらず、あくまでも観音V8同様のシボレーV8にこだわるあたりが、オーナーが観音V8の物語を引き継いでいる証だ。

 搭載したエンジンは5.7LOHV、通称「LT1型」で、このエンジンに目を付けた最大の理由は、デスビの位置にある。LT1型は、それ以前のV8と違ってラジエーター側に付くため、「純正のワイパーモーターの取り回しに手を付けなくても済むから選んだ」そうで、ドナー選びの「予習」の段階からスキがまったくない。

フォードの9インチリアエンドを片側4インチ(約10cm)ずつ詰め、なおかつ4リンク式へとフォーマットを変えたリアセクション。現物合わせであつらえたワンオフ物となるスチール製マフラーなど【写真20枚】




純正の室内色とコーディネートできるよう選ばれたブルーとグレーのボディカラーは、ジョニーズロッド&カスタムにて調合された唯一無二のカラーなのだ。




US仕様は身体の大きなアメリカ人の体型に合わせてキャビンの全長が長く、代わりに荷台の長さが短い。その荷台だが、サスの変更、タイヤサイズの大型化に対応するようフロアのカサ上げが行われている。リアゲート寄りにある赤い丸はガソリンの給油口。全体に縞鋼鈑を張り合わせ、実用性と見た目の美しさを両立する。





荷台の側面には、電気系のキルスイッチを装備する。



1961年式 トヨペット クラウン ピックアップ
SPECIFICATIONS 諸元
●エクステリア:ブルー/グレーオールペイント/ピンストライプ/
 マスターライン用フロントグリル/フロントフェンダーフレア加工/
 純正改リアバンパー/ハードトノカバー
●エンジン:シボレーLT1型/ビレットブラケット&プーリー/純正エンブレム改ワンオフエンブレム
●排気系:スチール製ワンオフマフラー(エキマニ含む)
●駆動系:1995年式シボレー・カプリス用4速MT/プロペラシャフト(ショート加工)/
 フォード9インチデフ(片側4インチナロード加工)
●足回り: (F)ワンオフチューブラーアーム、(R)4リンク式+コイルオーバーショック/
 補強フレーム追加/コイルオーバーショック
●ブレーキ:1995年式シボレー・カプリス用フロントディスクブレーキ
●ホイール:クレーガー•ストリートスター (F)15×3.5、(R)15×10.0
●タイヤ: (F)145R15、(R)ハーキュリーH/P4000 295/50R15
●インテリア:ドアトリム一体型ワンオフインパネ/55年式シボレー・トラック用アフターメーター/ビンテージエア・エアコンユニット/FLAT4フォーミュラGTステアリング/オーバーヘッドコンソール/1995年式シボレー・カプリス用フロントシート張り替え

【3】【4】に続く