【瞬く間に広がった特別な証、Rへの憧憬と崇拝  Vol.2】

【1】から続く

 日産は、オーバーフェンダーを備えたチェリーのホッテストバージョンに「X1‐R」のグレード名を付けた。一方、トヨタは日産や三菱ほどのこだわりはない。カローラやスターレットの硬派モデルを「SR」と呼んでいるが、性能的には突出したものではなかった。

 その後、排ガス規制が施行されたから、高性能をうたった「R」の威光は薄れてしまう。ラジアルタイヤを標準装備した軽自動車に「R」を付けてしまったのだから驚きだ。また、マツダはレーシングの意味ではなく、ロータリーエンジン搭載車であることを誇示した「RX」シリーズを立ち上げた。

 排ガス規制が完了し、ターボやDOHC4バルブエンジンで高性能を取り戻すようになった80年代、再び「R」の文字は輝きを放つようになる。

 Rの本家を自認する日産は、スカイラインとシルビア/ガゼールに「RS」グレードを設定した。言うまでもなくレーシングスポーツのイニシャルを取ったものだ。ご存知のように、その心臓はDOHC4バルブのFJ20型直列4気筒で、DR30とS12にはDOHCターボも用意されている。

 スカイラインは、その後も「R」のエンブレムにこだわり続けた。7代目のR31では特別限定車に「GTS‐R」のイニシャルを与えている。そして8代目のR32のときについに「GT‐R」のネーミングが復活した。90年代になってからもGT‐Rは、走り屋たちの憧れの存在となっている。

 トヨタは、日産ほど「R」にこだわっていないが、この時期、トヨタはセリカでWRC(世界ラリー選手権)に参戦している。そこでラリーの頭文字を意味するGT‐RやGTラリーのグレード名を、積極的にセリカに付けた。ターボ車にはGT‐TRのグレード名が付くものもある。

 ラリーでトヨタとライバル関係にある三菱も「R」の称号は大好きだ。慣れ親しんだGSRを使い続けていたが、80年代後半にはDOHCターボにフルタイム4WDのギャランVR‐4を市場に投入。加えて、ラリーのベース車両、ランサーGSR‐RSとギャランVR‐4ベースのRSを送り出した。90年代には「MR」も復活させる。


ST185 セリカ GT-FOUR RCや、FFジェミニ イルムシャーR、「超高密度スポーツ集積マシーン」スバルヴィヴィオ RX-Rなど【写真12枚】

【3】に続く

ST185 CELICA GT-FOUR RC

ラリー・コンペティションを意味するRCの名が与えられたセリカGT-FOUR。このモデルはWRCのグループAホモロゲーションを取得するために1991年に販売され、総生産台数5000台のうち日本には1800台が振り分けられた。最高出力が235psに高められたほか、メタル製タービンや水冷式インタークーラーなどを採用している。

JT150 GEMINI IRMSCHER R

「街の遊撃手」でお馴染みのFFジェミニ。イルムシャーRは時計、オーディオ、ホイールキャップなどの装備を省略した競技用ベース車両だ。その名の通り、ドイツのチューナー、イルムシャー社がチューニングを手掛けている。余談だが、FFジェミニには「ワカムシャー」という中古車をベースとした特別仕様車が存在した。

E38A GALANT VR-4 RS

競技用ベース車としてリリースされたのがこのVR-4 RSで、アンダーコートの省略やエアコンのオプション化、ABSやパワーウインドー、集中ドアロックなど競技に不必要な装備を外して軽量化などを図った。このほか、6代目ギャランのモデル末期には「Armed By RALLIART」というモデルも存在した。ラリーの三菱らしい設定だ。

KK3 VIVIO RX-R

スーパーチャージャーを搭載したDOHCエンジンを採用してMTのみをラインナップしたホットモデル。RXはレオーネ以来、シリーズ中の上位モデルに設定されたグレードで、RX-Rには「超高密度スポーツ集積マシーン」のキャッチコピーが与えられた。グループA仕様のRX-Rで1993年のサファリラリーに参戦し、クラス優勝を達成。


【3】に続く