ライトウエイトスポーツと呼ばれるクルマは多い。今でも軽量ボディのスポーツモデルは存在する。が、最近のクルマは安全対策や快適装備を盛り込んでいることもあり、車両重量は思いのほか重くなってしまった。軽量化と気持ちいい走り、優れた経済性は、設計者にとって永遠の課題だ。この難問を半世紀も前に解決したのが、トヨタスポーツ800である。

【1965年式 トヨタスポーツ800 Vol.3】【2】から続く

 オーナーは「運転免許を取得してから、ずっとヨタハチしか所有していません」というほど、トヨタスポーツ800に魅せられてしまった方だ。高校3年生の時に親から200万円を借りて、バラバラの状態のスポーツ800を買ってきたというから、このクルマに対する思い入れは半端ではない。

「高校生の時からヨタハチを購入しようと探していて、近隣の場所で仕上げ予定の個体を買いました。ところがその1週間後に静岡5ナンバーの個体が売りに出ているのを発見して、悔しい思いをしたんです」

【画像24枚】「ボディの塗装が7層ありました(笑)。ミルフィーユのようにきれいに重なっていましたよ」と語るオーナー。など

 自分の手元にあるバラバラの個体と比べて、後悔の念を募らせたというオーナー。ところが十数年の時を経て、本誌のスワップミートに同じ個体が売りに出ているのを発見する。

「急いで相手の方に電話をしましたが、その時点ですでに売り先が決まっていたんです。それでもあきらめずに以前購入しそこねた話を切々と伝えて、先約の方に話をつけてもらい、私に譲っていただけることになりました」

 念願かなって自分のもとに届いたスポーツ800だったが、欠品も多かったため、一度全部ばらしてレストアすることを決断。車検の切れる直前に知り合いの修理工場に自走で入庫した。それから9年間かけて、仕事が休日のたびに工場へ出かけていき、塗装と一部の板金以外はすべて自分で作業をして、一昨年10月に完成させた。以前からのストックパーツが大いに役立った。

 クルマは走らせてナンボ、というオーナー。ふだんの通勤にも使っているそうで、雨の中の走行も苦にしないとか。何よりスポーツ800自身(自車?)が、走らせてもらえる喜びを一番感じているのではないだろうか。

OWNERS VOICE/一時はスポーツ800だけを3台所有していました

 本文でも触れたとおり、トヨタスポーツ800を一途に愛し続けるオーナー。一時は3台所有していたが、5年前に高校生の時に買った最初の個体を手放して、今はシルバーとレッドの2台となった。ところで取材車両のレストア作業中にビックリしたことがあったとか。「ボディの塗装が7層ありました(笑)。ミルフィーユのようにきれいに重なっていましたよ」。まさに、苦労も過ぎれば笑い話になる。




【1】【2】から続く


1965年式 トヨタスポーツ800(UP15)
SPECIFICATIONS 諸元
全長 3580mm
全幅 1465mm
全高 1175mm
ホイールベース 2000mm
トレッド前/後 1203/1160mm
最低地上高 175mm
車両重量 580kg
乗車定員 2名
最高速度 155km/h
登坂能力 sinθ0.464
最小回転半径 4.3m
エンジン型式 2U型
エンジン種類 空冷水平対向2気筒OHV
ボア×ストローク 83×73mm
総排気量 790cc
圧縮比 9.0:1
最高出力 45ps/5400rpm
最大トルク 6.8kg-m/3800rpm
変速機 前進4段・後退1段、2〜4速シンクロメッシュ
変速比 1速 4.444/2速 2.400/3速 1.550/4速 1.125/後退 5.812
最終減速比 3.300
燃料タンク容量 30L
ステアリング形式 ウォーム、セクターローラー
サスペンション前/後 独立懸架トーションバー式/非対称半楕円
ブレーキ前/後 ツーリーディング/リーディングトレーリング
タイヤ前後とも 6.00-12-4PR
発売当時価格 59.5万円