ノーマルノーズにフロントスポイラーやオーバーフェンダーをまとったS30Zの王道スタイル。旧車のイベントでもよく見かける仕様なだけに、ヘタをすると周囲のクルマに埋没してしまいがち。しかし、水上自動車工業が手がけたこの1台は、ただ者ではないオーラを放つ。なにかが違う、そう思わせる魔力を秘めているのだ。奇をてらわずにスタンダードを極めた結果、たどり着いた理想系。走行4万kmの極上車をベースに最新パーツや快適装備を惜しみなく投入した、至高の仕上がりをとくとご覧あれ! 

【1977年式 日産 フェアレディ Z-T Vol.3】

【2】から続く

「グローバル治具に載せてキッチリとフレームの寸法を出し、スポット増しを行なうことで、溶接で熱が入りボディの歪みが出るのを抑えています。S30Zはノーズが長いため、ストラットやテンションロッドの付け根などの負担が大きいので、そうした部分もスポット溶接を追加して補強しました」。


【画像31枚】ボディ下の燃料配管も新規に製作されており、安定した燃料供給を実現。細部にまでこだわっているのがわかるボディ下側など


 こうして強靭なボディを作り上げ、さらにメンバーや足まわりのブッシュ類を強化。ダンパーがストレスなく動く環境を整えている。さらにリニアに減衰力を発生するアラゴスタ車高調を投入することで、路面追従性の高いしなやかなフットワークに仕立てている。

 もちろん制動力強化も抜かりなく、イギリスのハイスペック製キャリパーを導入。それに併せてマスターシリンダー&バックはS15シルビア用を流用し、ブレーキの前後バランスを適正化。高速やサーキットでも安心してアクセルを踏めるクルマ作りを実践した。

「高速安定性を高めるという意味では、エアロの効果も侮れません。オリジナルの新作スポイラーは、従来のS30Zのイメージを損ねずに、整流効果や冷却性といった機能面まで考慮してデザインしています」と水上さん。

 具体的にこのスポイラーでは、ボトムを前方にせり出す形状として空力性能を向上。さらに外からは見えない車体との取り付け部分についても、奥行きのある構造とし、ラジエーターにフレッシュエアを導いている。ちなみに、取材車両ではオイルクーラーとラジエーターをVマウント化することで、両方のコアにも積極的に走行風を当て、水温や油温の上昇を抑えている。


1977年式 日産 フェアレディ Z-T(S31)
SPECIFICATION 諸元
●エクステリア:ボディフルレストア&スポット増し、オリジナルフロントスポイラー/前後オーバーフェンダー、純正リアスポイラー
●エンジン:L28型改3L仕様、ASW製φ89mm鍛造ピストン/バルブスプリング、水上自動車工業製H断面コンロッド/ハイカム(作用角75度、リフト9.2mm)/ビッグバルブ(IN:φ45mm、EX:36.5mm)、L28型クランク加工(バランス取り、タフトライド加工、短縮加工)、グレッディ製サクションパイプ
●吸排気系:ソレックス44PHH(ニスモ:アウターベンチュリーφ38mm、メイン180、エア210、ジェットブロックASW製)、水上自動車工業製φ45mm6-2タコ足/φ75mmマフラー、TICスポーツ触媒
●点火系:KEW製デスビ、MSD
●冷却系:水上自動車工業製3層ラジエーター、HPI製オイルクーラー(ワンオフ加工)
●燃料系:ASW製燃料ポンプ
●駆動系:OS技研製ツインプレートクラッチ、S15改6速ミッション、R200デフ(ファイナル3.9)
●サスペンション:アラゴスタ製車高調(F)8kg/mm、(R)6kg/mm、ピロテンションロッド
●ブレーキ: (F)ハイスペック改4ポットキャリパー、(R)ハイスペック改2ポットキャリパー
●インテリア:MOMOプロトティーポステアリング、クイックリリースボス、軽量オリジナルダッシュボード、スタック製メーター(スピード、タコ、水温、油温、油圧、燃料、空燃費)、ブリッド製ヒストリックローバックシート(2脚)、ヴィンテージエアー製エアコン、DENONオーディオ
●タイヤ:ブリヂストン ポテンザRE-71R (F)205/50R15、 (R)225/50R15
●ホイール:ワーク マイスターCR-01マットカーボン(MGM)+ツヤ消しブラックアルマイトリム
(F)15×9.0J-16、 (R)15×9.5J-35




【4】に続く