【情熱のスポーツユニット】
他人とは違うクルマに乗っている、という優越感や満足感は、旧車乗りの自己主張そのもの。
その極みとも言えるのが、スポーツ仕様のエンジン搭載車を所有することだろう。
高圧縮比、複数キャブレター、ダブルオーバーヘッドカムシャフト、5速マニュアルミッションなど、クルマ好きの心をわしづかみにする、ホットなメカニズムが組み込まれたクルマたち。

クルマ好きのあこがれだったスポーツユニット搭載車。改めて1960〜70年代のクルマたちを見直してみると、ラインナップの中に意欲あふれるスポーティーグレードが存在していた。そんなモデルたちを振り返ってみる。

【スポーツユニットの意欲作たち Vol.2】

【1】から続く

 第1回日本グランプリで圧勝し、販売を伸ばしたトヨタも積極的に高性能モデルを投入する。その最初の作品がパブリカだ。1963年10月にコンバーチブルを追加した。心臓は697ccのU型空冷水平対向2気筒OHVをツインキャブ化したU‐B型エンジンである。これは1965年に790ccの2U型エンジンに発展。トヨタスポーツ800に積まれてデビューした。軽量コンパクト設計だったから加速は鋭い。また、実用燃費も驚くほどよかった。

 今ではトラックとバスの専門メーカーとなった日野も負けていない。提携を結んでいたルノーのノウハウを随所に入れたコンテッサ900のスポーティーバージョン、900Sを投入している。リアフードに積むGP20型直列4気筒OHVをツインキャブ化するとともに、3速MTをフロアシフトの4速MTとした。翌1964年にはモデルチェンジしてコンテッサ1300となったが、新開発のGR100型エンジンにもツインキャブ仕様がある。その代表がコンテッサ1300クーペだ。

 この時代は、ホンダSシリーズを除いて、OHVエンジンにSUツインキャブを組み合わせてパワーアップを図る方法が一般的だった。トランスミッションも、フロアシフトの4速MTを採用する。1964年4月、いすゞから鳴り物入りで登場した流麗なクーペのベレット1600GTも、OHVエンジンにSUツインキャブの組み合わせだ。4輪独立懸架のサスペンションと相まって痛快で速い走りを見せつけた。

>>【画像7枚】1960〜70年代のクルマたちに搭載されたスポーツユニットの意欲作たち

 これに対しベレットと日本初のGTの座を争ったプリンス自動車のスカイラインGTは違う。第2回日本グランプリで勝つために開発され、延ばしたノーズのなかに収めたのは、グロリアのG7型直列6気筒SOHCエンジンだ。スポーツキットの名でウエーバー製の3連キャブと5速MTが用意された。このレース仕様に限りなく近いスペックで1965年にカタログモデルに昇格したのがスカイライン2000GTと後のGT‐Bである。

 が、ホンダSとスカイライン2000GT以外は、依然としてOHVエンジンとSUツインキャブを用いてパワーアップを行った。1964年春に日産は、ブルーバード1200にSUツインキャブと4速MTのSS(スポーツセダン)を追加。1965年には1300SSに発展し、さらに高性能な1600SSSも送り込む。1600SSSはフェアレディ1600、シルビアと同じ1595ccのR型エンジンとSUツインキャブを積む高性能セダンだ。

 が、ブルーバードは3代目の510にモデルチェンジしたのを機に、直列4気筒SOHCユニットを搭載した。ライバルのコロナもOHVからSOHCエンジンに換装し、100マイルカー時代が到来している


【3】に続く