あこがれを、あこがれのままで終わらせない。そう決めたオーナーは当時の走りを彷彿させる2T-G型改2L仕様のクーペを手にした。過去を、過去のままで終わらせない。仲間の走りを見てサーキット走行に踏み出したオーナーは、レーシングジャケットとワークスフェンダーまで手に入れた。取材当時の2018年、30年以上も前のセリカが公道に、そしてサーキットに復活した!

【1972年式 トヨタ セリカ 1600GT Vol.2】

【1】から続く

 セリカは、スペシャリティーカーとしての地位を築き、圧倒的な人気を勝ち取っていた。
 さらに、サーキットを舞台にしたレース活動にも力が入れられており、1971年11月には富士スピードウェイの日本オールスターレースに参戦。3台が出場し圧勝劇を演じる。翌1972年3月の全日本鈴鹿自動車レースでは、GTカー(Sクラス)との混走となりながらも2位となり、シャシー性能の高さを実証。1974年には舘 信秀さんがマカオのギア200レースに参戦し、優勝。翌年には同レースで1〜3位を独占、セリカとサーキットの縁は切っても切れないほど深い結びつきを見せていく。

 ここで登場するのが、このセリカを語るうえでのキーワード「ワークススタイル」だ。前述のレースで勝利を収めるため、エンジンなどのチューンナップと同時に、セリカは見た目も大幅な変更を受けてきたのだ。まず圧倒されるのが、ワークスフェンダーと呼ばれる巨大なオーバーフェンダーだ。純正の車幅が1620mmであるのに対し、ワークスフェンダー装着後は1750mmで、130mmも拡大。そのかいあって10J以上のホイールを組み込むことができ、よりワイドなスリックタイヤの装着が可能となる。それは、コーナリング性能アップに結びつく。

 もう1つのアイテム「レーシングジャケット」は、ヘッドライトをアクリルのカバーで覆うもので、こちらは空気抵抗うんぬんもさることながら、当時まだガラス製が主だったヘッドライトの飛散防止の意味合いが強かったようだ。とはいえ、これらの装備を身につけレースを勝ち進むセリカの姿に心を揺さぶられたカーマニアは多く、ブームの加熱ぶりはサーキットを飛び出し、いわゆる街道レーサーたちの間にも飛び火していった。

>>【画像24枚】フロント10J、リア11Jをセットした当時のレーシングハート14インチホイールなど。タイヤは225/40R14という特殊なサイズで、トーヨーのプロクセスT1Rを探しあてた





巨大フェンダーに深リムを入れ、在りし日のフォルムがよみがえる。

【3】に続く

1972年式 トヨタ セリカ 1600GT(TA22)
SPECIFICATION 諸元
■ エクステリア:マーシャル製ヘッドライト(PIAA・LED化)、当時物レーシングジャケット/チンスポイラー/リアスポイラー、FRP製リプロセリカワークスフェンダー、GTストライプレプリカ、ナポレオン・バッカミラー、リアラメ入りガラス
■ エンジン:2T-G型エンジン改2L仕様、亀有製2T-G 2L用鍛造ピストン/3T型用フルカウンタークランク、カム(IN272/EX288度)
■ 吸排気系:OER製φ45mmレーシングキャブレター×2、ワンオフエキゾーストマニホールド/ステンレスデュアルマフラー(φ50mm)
■ 点火系:永井電子機器製ウルトラCDI/シリコンプラグコード、強化セルモーター
■ 冷却系:ラジエーターコア3層張り替え、9段オイルクーラー
■ 燃料系:電磁ポンプ交換
■ 駆動系:強化クラッチ、AE86用マスターバック/ディスクブレーキ用ホーシング、TRD製LSD
■ 補強系:(F)クスコ製ストラットタワーバー
■ サスペンション:(F)AE86用ストラット、4段式ショックアブソーバー、クスコ製ピロアッパーマウント (R)AE86用強化スタビライザー/ラテラルロッド/ピロロワアーム、8段式ショックアブソーバー、ワイズスポーツ製強化コイルスプリング
■ ブレーキ:AE86用ブレーキマスター移植/前後ディスクブレーキ移植
■ インテリア:ナルディ製レザーステアリング、ピンクパンサー・シフトノブ、オートルック製レーシングシート、ウィランズ製レーシングハーネス、大森メーター製水温/油温/油圧/バキューム計、グローブボックス下3連メーター(燃料計、大森メーター製水温計/電圧計)
■ タイヤ:トーヨー プロクセスT1R (F&R)225/40R14
■ ホイール:タケチプロジェクト レーシングハート(F)14×10J (R)14×11J