人や物に執着して得るものなんてなにもないとわかっているのに、執着心はなかなか手放せないという人も多いと思います。執着心があればあるほど生きづらくなり、ストレスもたくさん抱え込んでしまいます。執着心はきっぱり手放して、ストレスから解放されたいですね。この深くてしつこい執着心の正体を暴き、どんどん手放していく方法を心理カウンセラーがお伝えします。

 

1.執着心が強い人の特徴

執着心が強い人は、自分に自信がなく無価値感が強い、何でも完璧にしたいという完璧主義、誰かに認めてほしいという承認欲求が強いという特徴があります。また、さみしがり屋の“かまってちゃん”や他者といつも比較してしまう人、他者にどう思われているかに敏感で人の顔色ばかり伺う人も何かに執着しがちです。そしてこういう特徴の根底には、強い不安感があります。

 

2.不安の正体

不安には「現実的な不安」と「思い込みによる不安」の二種類があります。現実的な不安は、他者との比較において現実に自分には無いものに不安を感じます。お金や容姿、学歴やキャリア、置かれた環境などです。一方、思い込みによる不安は、「こうなったらどうしよう」「おそらくこうにちがいない」と思い込み、その後に起こることをネガティブに想像して不安になります。

執着心が強い人は、人より不安がとても強く、その不安をずっと抱えたままになっているのです。さらにこの二種類の不安(現実の不安と思い込み不安)のもっともっと根深いところに、言いようのない漠然とした不安があります。

 

3.何に執着しているのか?

何かに執着するということは、この不安が関わっています。繊細さや敏感さといった、持って生まれの気質ももちろん影響しますが、幼少期に自分自身の存在への安心感が得られなかった場合は心の根深いところで漠然とした不安感を持っています。そしてこの辛い不安を感じなくするために、人や物にしがみつくのです。つまり執着することで不安を遠ざけ、一時的に安心感を得ようとしているのです。

一見すると、人や物に執着しているように見えますが、それは本来の目的の手段にしか過ぎません。本当に執着してしがみついているのは「安心感」です。しかし現実には自分の思い通りにいかないことが多く、その安心感は簡単に揺らいでしまいます。だから自分を安心させてくれる相手に執着してしまったり、たくさんの物を所有することで安心感を得たりしようとします。

ところが、相手が自分の思い通りにならないとわかると、すぐに別のしがみつける人を探して執着していきます。また物による安心感は一過性のものです。すぐに欠乏感が沸き起こって不安になり、次々に新しい物に執着していきます。こうなると常に不安を抱え、生きづらくなってしまいます。自分の安心感が損なわれることへの執着が、人や物に対する執着心となって現れるのです。

 

4.執着心を手放す方法

執着心が強い人は、常に辛い現実から逃げたいと思っています。不安がいっぱいの辛い現実から逃げたくて、自分を安心させてくれる人や安心できる物を探し続けます。しかし自分はというと、常に人と比べて落ち込んだり、人にどう思われるかビクビクしたり、「こうなったらどうしよう」とどんどん妄想を膨らませたりしています。これは辛い現実に対しても無意識に執着していることになります。こうなると、どんどんネガティブなものを呼び寄せてしまいます。

自分の人生は他者の力で幸せにしてくれることを期待し、自分は辛い現実に執着するというのでは、自分が本当に納得できる生き方にはなりません。不安を完全に無くすことは現実には不可能です。なので不安を無くすことだけに囚われず、執着心を少しずつ手放しながら、不安を小さくし、不安でも不安に絡め取られない自分を作っていくことを目指しましょう。

まずは今自分に必要のない人や物、自分から去ろうとしている人を手放します。とはいえ人は誰しも弱いもので、気持ちが行ったり来たりします。それは仕方がないのですが、気持ちに区切りをつける儀式をすると手放しやすくなります。たとえば、お礼を言ってから物を捨てる、相手に自分の気持ちを伝える(相手の反応は関係ない)、不安な気持ちを書き出し破いて捨てる、部屋の模様替えをするなどがありますが、儀式は人によってそれぞれ違うものなので、自分流の儀式を考えてみて下さい。たとえ馬鹿馬鹿しく思うことでも儀式としてとても効果があります。

儀式によって潔く手放したら、上を向いてひとつ大きく深呼吸。色々な感情が沸き起こりますが、どんな感情も否定せず評価もせず、「ああこういう気持ちもあったんだな」と素直に受け取りましょう。また日によっては、執着したい気持ちが出てくるかも知れません。でもそれも手放すためのひとつの過程として捉え、自分を責めないようにしてください。自分を変えたいから強い執着心を手放すんだと思う力が自分への自信に繋がっていきますよ。

[執筆:上土井 好子(公認心理師・心理カウンセラー)]

※画像:yamasan  / PIXTA(画像はイメージです)