バイク川崎バイク(BKB)の小説が話題だ。BKBといえば、サングラスにバンダナ姿で、文章の頭文字を「BKB」に変換したり「バイクだけにブンブン」など、キャッチーなネタで人気を博しているイメージがあるが、実は単独ライブでは、伏線回収や物語性のあるコントを発表しており、その完成度の高さからファンも多いという。

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 そんな彼が、8月12日にショートショート小説集『電話をしてるふり』(ワニブックス)を発売する。新型コロナウイルスの影響で空いた時間をショート小説執筆に充て、作品投稿サイト「note」に投稿。表題となった作品『電話をしてるふり』はSNSで「泣ける」と話題となり、10万PVを突破。今回、異例のスピードで出版に至った。

 繊細なタッチで描かれた物語50編(書き下ろし含む)が収録されている本作について、BKBに話を聞いた。 

ーー自粛期間に「note」に書いた小説が書籍化。かなりのスピードでの発売となりました。まずは自分の作品が本になった喜びをお伝えいただけますか。

 そのつもり(出版するつもり)では書いていなかったんで……。近所に(メイプル超合金の)カズレーザーが住んでいるので仲が良く、前からよく小説に関して相談していたんですけど「とりあえず100個続けたら何かになるんじゃないですか?」って言われて「頑張るわ!」って話していたら、そしたら30個目くらいで「本出します?」って言われて。“早っ!”みたいな。

ーー出版が決まる前の小説執筆は、手探りの状態で、見えないゴールに向かっていた状態。不安もあったと思いますがいかがですか?

 大きな手応えも(27本目にアップした)『電話をしてるふり』まではなかったですね。それまで「毎日楽しみです」って読んでくれている人はいたんですけど、たまに“何のために書いているんやろ? でも、時間もあるからええか”くらいのテンションではありました。

ーー『電話を〜』で大ヒットにつながったわけですが、書いていくうちに反応を見て、見せ方やテクニックみたいなものを変えていったんですか?

 確かにこの話だけ、涙腺をたたくテクニックを出せたんですかね。自分で読んで涙が出たんで、“じゃあ他人が読んだら?”って思ったというか。あとコメントを見ると「マジで涙止まりませんでした」ってコメントがババッときたんで、(SNSで)告知するときも「泣きそうになりました」って書いたら、それがフックになって、皆さん“読んでみようかな”ってなったんですかね。それこそ、峯岸みなみさんとかが反応してくれて、あれよあれよと広がった感じで。

ーー広がった要因として『note』で、無料公開したのも大きいんですかね。

 そうですね。勇気いりましたけどね。あの時期は目先の(お金)……っていうたらあれですけど、有料にすることも考えたんですけど、BKBのこと興味なかった人とか、小説が好きな人とか、広い視野で読んでもらいたいと思ったんで、だったら無料にせんと、マジで読んでくれないんで。僕も知らん人の有料記事なんて、ましてや「ブンブン」言うている人の小説なんて読まないですから。2、3分で読めるとも書いていましたし、“無料ですぐ読めるんやったら”ってことがハマったんやと思います。

ーー毎回、朝の8時19分(バイク)にアップされていましたが、辛いことはありませんでしたか?
 
 トレンディエンジェルのたかしが近所に住んでいるんで相談したら「バイクの時間にアップするのがいいんちゃいます?」って言われて。なるほどなと。ただ、すぐに後悔しましたけど。

ーー(笑)。今後、挑戦してみたい仕事や夢はありますか?

 これが原作となって映像化してくれたらうれしいですけどね。

ーー例えば『電話をしてるふり』はナンパをされる女性が主人公です。どんな女優さんに演じてほしいですか?

 黒木華さんですね。南海キャンディーズのしずちゃんさんを通じて、2回くらいお話しする機会があり、ノリで「小説書いているんですけど、ドラマ化になったら(出演)いいですか?」って言っていて。「ぜひ!」っておっしゃってくれたんで。まぁ、気をつかってくれたんでしょうけど、本気出したらやってくれるんちゃいますかね(笑)。

ーー先ほど峯岸さんの話も出ましたが、周囲の芸人さんやタレントさんから何か反応はありましたか?

 峯岸さんとは昔一緒に仕事をしたので連絡先も知っていて「(ショート小説を)全部読んで、どれが好きか言いますね」ってメッセージきたんですけど、そこからまだ何も連絡ないですね。忘れているやんけっていう(笑)。でも、あの人、演劇とか本とかめっちゃ好きなんで、そういう人が評価してくれるのはうれしいですね。あと、Twitterでほとんど絡まへん、野性爆弾のくっきー!さんとかが「マジでええやんけ」って言ってくださって。あんな天才から言うてくれてうれしかったです。

ーーさらば青春の光の森田哲矢さんやニューヨークの屋敷裕政さんと仲が良いそうですが、実際に作品を見てもらったりしたこともあったんですか?

 こういうのって絶対読んでもらった方がいいって分かっているんで、屋敷とか森田にも読んでもらいました。森田なんかは「『電話〜』は普通やったっすね。けど逆にこの(本作にも収録されている)『タイミング』は面白かったですけどね」とか、人によって感想は違いました。だからショート小説っていいなって思います。どれかはハマるやろっていう(笑)。

 あと、たかしは本当に本を読まないんで「俺が分かるやつ(小説)は全員が分かりますよ」って話もしていましたね。

ーー今回、コロナ禍の中で執筆活動にいそしまれていましたが、自粛期間中に芸人として、考え方が変わったことはありましたか?

 みんな言っていることでしょうけど、劇場を軸にしていた人がいかに戦えなくなったかっていうのがあって。お客さんがいて、笑ってくれるっていう恵まれた環境で、ネタができない状況下で“何ができるんか”っていうのは、僕を含めてめっちゃ考えたと思います。それこそ、この期間にYouTubeやる芸人が山ほど増えましたし、noteのユーザーもめちゃくちゃ増えたらしいですし、発信欲がとどまらへん中で、自分に向いているやり方をどう探すかというか。

 僕が面白い小ネタとか思いつけば、動画に手を出して、小説を書いていなかったと思うんですけど、それが思いつかなかったんでやらんかった(笑)。ある程度芸歴を重ねて、何が面白くて、何が受けてって何となく分かっちゃったんで、“いま俺が動画上げてもそんな興味ないやろな”っていうのもあって、今回は(BKBが小説を書くという)ギャップで攻めようと思った感じですね。

ーー最後に、本作のおすすめポイントを教えてください。

 活字が苦手な人でも分かりやすい文体を意識していて、難しくないですし、しかもそれが50編入っているので、お得感があるのかなと。ちょっとした仕掛けも施していますので、全部読んでいただいた後に、良い読後感を味わえるお約束はできるのかなと思います。途中でBKBだけちらつかんようにだけ注意していただけたら(笑)。

取材・文:浜瀬将樹

『BKBショートショート小説集 電話をしてるふり』
著者:バイク川崎バイク
発行:ヨシモトブックス
発売:ワニブックス
定価:1,320円(税込み)
ISBN-10: 484709946X
ISBN-13: 978-4847099465
版型:単行本
頁数:256頁