昨年度作品が対象の「第44回日本アカデミー賞」で、最優秀作品賞を「ミッドナイトスワン」、最優秀主演男優賞を同作主演の草なぎ剛が受賞した。

 「草なぎが難役であるトランスジェンダーの主人公を熱演。大規模公開ではなかったが、リピーターが続出しネット上の口コミで観客が増えていった。最近の日本アカデミー賞は、映画会社の力関係よりも、世間の評価が大きく反映される傾向」(映画業界関係者)

 今年はいまだにコロナ禍にもかかわらず、続々と邦画作品が公開されているが、早くも、すでに公開された2作品が今年の映画賞候補となってきたというのだ。

 まず、1本目は綾野剛主演の「ヤクザと家族 The Family」(藤井道人監督)。ヤクザという生き方を選んだ男を、三つの時代を通して描く壮大なヒューマンストーリーで、舘ひろし、尾野真千子、市原隼人、磯村勇斗らが脇を固めた。

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 もう1本は俳優の役所広司主演の「すばらしき世界」(西川美和監督)。直木賞作家・佐木隆三氏の小説「身分帳」が原案。殺人を犯し、13年の刑期を終えて出所した主人公が、社会から“置いてけぼり”を食らいながらも、真っすぐ過ぎる性格と、そのどこか憎めない魅力で周囲の人々とつながっていく姿を描き、仲野太賀、長澤まさみらが脇を固めた。

 「綾野も役所もヤクザの役。これまで、ヤクザが主人公の作品はヤクザを美化して描かれることが多かった。しかし、両作品はヤクザであることによって、いかに不利益を被るかもしっかりと描かれ、周囲の人々に不利益をもたらすことなどもしっかりと描かれている。作品賞と主演男優賞ではどの映画賞も候補にあがることになるのでは。公開時期が早い作品はなかなか賞レースに入るのは難しいが、この2本はインパクトがあり過ぎた」(映画担当記者)

 両作品の関係者には朗報がもたらされそうだ。