開幕戦の9回裏のマウンドに立っているのはケラーか、それとも…。

 阪神・岡田彰布監督が来季の守護神を湯浅京己に任せることを初めて明言した。しかし、さすがは百戦錬磨の指揮官である。記者団が質問する前に来年3月のワールド・ベースボール・クラシック(以下=WBC)のことを切り出し、「最初は、そら(抑えで)使えんと思うよ。1か月も違うボール(WBC球)でやって。はっきりと(勝ちパターンの)順番も決められへん」と、序盤戦の守護神は“日替わり”になることも示唆した。

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 「湯浅のWBCメンバー入りは、ほぼ間違いないでしょう。栗山英樹代表監督も奪三振率の高さに注目していました」(ベテラン記者)

 今季、湯浅の奪三振率は10・40。乱暴な比較だが、「奪三振数」(=154個)のタイトルを獲った巨人・戸郷の「奪三振率」は8・07。狙って三振の奪える湯浅の“守護神抜てき”は当然だろう。気になるのは、その湯浅が使えない序盤戦の継投策だ。

 チーム関係者の一人がこう言う。

 「岩崎優、獲得濃厚な新外国人右腕のジェレミー・ビーズリー(前パイレーツ傘下3A)でしのぐのでは」

 しかし、岡田監督は秋季練習中、「クローザーに求める資質」として、こんなことも話していた。
「臆病なくらいがちょうど良いのよ。一球の怖さを知っていると言うか」

 “一球のコントロールミス”で、試合をブチ壊す恐怖。その表裏一体の状況で投げているのが、クローザーだ。「臆病なくらいが」は老獪な岡田監督らしい言い回しだが、その慎重なピッチングを最終イニングのマウンドで実現できるリリーバーは岩崎だけではない。

 開幕戦の臨時クローザーに抜てきされるのは、カイル・ケラーではないだろうか。

 「シーズン後半、ようやく戦力になったと言うか…。開幕戦から2試合連続で救援に失敗し、その後、二軍落ち。チームも9連敗しました」(在阪記者)

 ケラーは34試合に投げ、3勝2敗3セーブ。契約延長を勝ち取った唯一のトラ外国人選手でもある。

 一軍再昇格後のピッチングを評価しての残留だが、岡田監督と言えば、鉄壁の救援陣JFKを確立させたように、投手継投策で逃げ切る野球をやろうとしている。

 「岡田監督自身も言っていますが、今の投手陣にJFKのような連投を強いることはできません。湯浅を3連投させる時があるかもしれませんが、4連投は無理。壊れてしまいます」(前出・チーム関係者)

 湯浅が投げられない日に、打線が爆発して大差がついているのならともかく、僅差での最終イニングを託せるリリーバーも必要なのだ。

 「一番恐れているのが、勝ちパターンで使うリリーバーの故障離脱なんです。湯浅に限らず、故障しない保証のあるピッチャーなんていないので」(前出・同)

 岡田構想では開幕戦から交流戦の始まる5月下旬までは“テスト&修正”の期間になるという。そのテスト期間中、湯浅不在時の代理クローザーも見極めてくるはずだ。一球のミスで地獄を知ったケラーもキーマンになりそうだ。(スポーツライター・飯山満)