本拠地・横浜スタジアムで迎えた首位ジャイアンツと2位ベイスターズとの3連戦。9月10日の初戦、満を持しての中8日で送り込んだエース・今永昇太が7回2失点と好投しながらも、打線の援護なく敗戦。これでゲーム差は5と開き、ハマスタのスタンドからは大逆転優勝への期待が一転、諦めと変わるような大きな溜息に包まれてしまった。

 敗戦後、ラミレス監督は「打てないと野球は勝つことは出来ない」とコメントを残したが、その言葉通りに、前日に続いて1番に座った乙坂智が実践して見せた。初回のファーストストライクのカーブをを積極的に振り抜き、あわや先頭打者ホームランの2ベースで、打撃不振にあえぐチームに勢いを付けた。3回には先頭の大和が2ベースで出塁すると、初回と同じく初球のカーブをセーフティ気味のバントで3塁戦に転がし、自らもセーフとなる絶妙の繋ぎの働きでチャンスを広げる。その後、1アウト1-3塁の局面では、4番・筒香嘉智が「打ち損なった」と振り返る浅いライトフライで、サードランナー乙坂がスタートし、きわどいタイミングながらも上手いスライディングが功を奏し生還。持ち前のスピードで貴重な追加点をもぎ取った。更に6回にもライト前にヒットを放ち、この日猛打賞の活躍で、5連敗中のチームを救った。

 連敗中のチームは、4番に筒香が復帰し打点を稼ぐことを期待されたが、1番から3番の出塁率が低く、打線として機能不全に陥っていた。1番に2年目の神里和毅が好調だった際は、攻撃のバリエーションも増えていたが、リードオフマンが固定できなくなってからは、一発頼みの打線の一面が如実になり、相手のピッチャーの調子によっては術中にはまり、単調な攻撃になるケースも目立っていた。

 乙坂が1番に起用された理由の一つに、ジャイアンツ戦での打率の高さを買われた面もあるであろうが、2016年には、同級生の桑原将志や2級下の関根大気と共にリードオフマンの座を争ったこともある若手のホープ。地元横浜で生まれ育った乙坂智が、走って飛ばしてベイスターズに旋風を送り込む。

取材・文 ・写真/ 萩原孝弘