選手やファンを巡る数多くの騒動で、プロ野球ファンの怒りを買った2019年のプロ野球。一方、同年は選手やファンだけでなく、球団が騒動を起こしてしまったケースも複数発生している。

 シーズンが開幕する前の2月25日に起きたのが、広島の「チケット抽選券配布騒動」。広島は転売対策の一環として、2019年シーズンチケットの販売方法を前年まで採用していた先着順から抽選制へと変更。その抽選に用いる抽選券を本拠地のマツダスタジアムで配布するも、球団の想定をはるかに上回る約5万人が殺到し球場周辺は大混乱に陥った。

 警察も出動する騒ぎになったことを受け、球団は抽選券の配布を途中で終了。当然、受け取れなかったファンからは不満と怒りの声が挙がり、球団関係者に怒号を浴びせるファンも続出。ネット上でも「一日で一気に配ろうとするとか馬鹿じゃないのか」、「インターネット抽選で良かっただろ」といった非難の声が噴出したが、球団は日を改めて再配布するなどの救済措置は取らず、2日後の2月27日に配布分の抽選券のみを対象とした抽選結果を発表。この対応についても「抽選券もらえなかったファンを切り捨てるのか」と怒りの声が集まった。

 7月1日に発覚し物議を醸したのが中日の「応援歌自粛問題」。同日、中日の公式応援団がチャンス時に流していた応援歌であるピンク・レディー「サウスポー」の替え歌について、今後使用を自粛するとSNSで発表。発表直後はその理由についてさまざまな憶測が飛び交っていたが、後に歌詞の中にある「お前」という言葉をチームの与田剛監督が「子供の教育上良くない」と問題視し、それを受けた球団フロントが応援団に自粛を求めたことが理由であると判明した。

 監督が球団を通して応援歌にクレームをつけるという前代未聞の事態に、プロ野球ファンの間からは「ただの言葉狩りじゃないか」、「そんなこと言う前に借金を減らせよ」と与田監督や球団への批判が殺到。複数のワイドショーにも取り上げられるなど、球界の枠を超えた騒ぎにまで発展した。なお、当初の報道では応援歌の自粛期間は今シーズン終了までと伝えられていたが、来シーズンも自粛が継続されるのか、それとも使用が再開されるのか、現時点まで正式発表はない。

 シーズン終盤の8月31日に報じられ波紋を広げたのが、阪神による鳥谷敬への「引退勧告問題」。2004年のプロ入りから一貫して阪神でプレーし、1939試合連続出場(プロ野球史上2位)や通算2000本安打(同50人目)といった記録も打ち立てた鳥谷だが、同日の試合前に報道陣に対応した際、2日前の8月29日に行われた球団との話し合いの中で引退勧告を受けたことを告白。この事実が複数メディアによって報じられると、ファンだけでなく中畑清氏(元巨人)、東尾修氏(元西武)といった球界OBからも異論が噴出した。

 その後の報道によると、球団は鳥谷が引退を受け入れた場合、引退試合・セレモニーの開催や指導者ポストを用意する意向を持っていたと伝えられている。しかし、鳥谷は引退勧告を受け入れることなく、今シーズンのオフに阪神を退団している。

 認識の甘さやうかつな対応が、想定外の騒ぎに発展した2019年。年が変わった2020年も、各球団の職員や関係者にはより一層の注意が求められることになりそうだ。

文 / 柴田雅人