糸井、糸原の故障離脱で「攻撃力のダウン」が懸念されていた阪神が、敵地・神宮球場で快勝した。

 「糸原(健斗=24)の離脱は大きい。最近5試合で15打数11安打、金本(知憲=49)監督は糸原を『1番』に固定する新打線も念頭に入れていましたから」(プロ野球解説者)

 だが、21日のヤクルト戦は打線が爆発し、2ケタ得点も挙げた。ヒーローは今月7日に入団したジェイソン・ロジャース(29)だ。ロジャースは来日初アーチを含む2打席連続弾と適時打を放った。故障者が続出するなか、緊急獲得した助っ人が活躍したとなれば、交渉に当たったフロントスタッフも喜んでいたはず。金本監督もご満悦の表情で球場を後にしたが、“本心”は違うようだ。

 「クリーンアップを予定して獲得したキャンベルの代役として、見つけてきました。球団はかなり早い時期から調査を開始していたようですね」(在阪記者)

 これ以上、首位広島とのゲーム差を広げないためには外国人選手の途中獲得も止むなし。フロントはそう判断したが、金本監督の考え方は少し違った。

 糸原の故障前ではあるが、金本監督は若手、中堅の奮起に期待していた。二軍調整中の北條史也(21日再昇格)もいる。中谷将大、陽川尚将も一軍投手との対戦機会が増えてきた。また、江越大賀、新人の大山悠輔らにもチャンスを与えたいと考えていたそうだ。

 「ロジャースの真価が問われるのは2週間くらい先になるでしょう。途中加入の選手については、対戦チームはデータを持っていないので手探り状態なんです。セ5球団との対戦がひと周りすれば、対策もできてきます。苦手コースを攻められたとき、ロジャースがどう対応するのか。また、結果を求めすぎてボール球に手を出すなんてことにならなければ、ホンモノでしょうが」(前出・プロ野球解説者)

 ロジャースが日本の投手に慣れるには、それなりの打席数を与えてやらなければならない。そうなれば、若手、中堅を使う機会は自ずと減る。金本監督は助っ人の緊急獲得にともなうこうしたリスクをフロントに進言したが、最終的には折れたという。

 「金本監督は2年連続でドラフト1位選手をゴリ押ししています。糸井獲得も金本監督のお願いによるもの。プロ野球も組織である以上、今回折れたのは正解だったと思います」(前出・在阪記者)

 ロジャースに対する前評判は高くなかった。緊急獲得した助っ人が爆発したケースはさほど多くないからだ。

 金本監督は「持論を引っ込めて良かった」と思うのか、それとも、「意見が通りにくくなった」と嘆くのか…。

 ロジャースの好調さが長続きしなかった場合、金本監督のフロントに対する心象も変わってくるだろう。現場とフロントとの亀裂にもなりかねないだけに、阪神は勝ち続けるしかないようだ。

(スポーツライター・飯山満)