今年の東京都議会議員選挙と参議院選挙に向けて、選挙やSNSの情報をめぐる様々な課題や疑問について、各分野のスペシャリストに話を聞くシリーズ。第4回のテーマは「SNSは何でも自由に発信できる場所って本当?」憲法と表現の自由に詳しい武蔵野美術大学の志田陽子教授に聞きました。

■SNSは自由に発信できる場?

日テレNEWS NNN

―SNS・ネットを通じて選挙に関する情報を得たり、発信しやすくなったりしている状況について、先生はどのように捉えられていますか?

武蔵野美術大学・志田陽子教授

「憲法21条が保障している“表現の自由というのは民主主義を支える大事なもの”ということで、政治的表現の自由を、特に大切に考えているんですね。

ただ選挙に関する表現というのは、選挙の公正性を確保しなくてはいけないということもあって、公職選挙法上いろいろと規制はあるんです。

これに対してSNSは、個人個人が直接に発言機会を得られるので、その格差が縮まって、いろんな人が今までより自由に発言ができるようになってきている。 これ自体はとてもよいことだと思ってます」

■表現の自由とは?

―先生が考える表現の自由について教えて下さい。

「憲法で法的なものとして表現の自由をいう時には、国や自治体との関係で1人1人が自由だということ。まず最初、出発点として言っているんですよね。

私はそれを“道路”のようなものだと考えていて、1人1人自分では価値があると思って多分表現しているはずなので、そこを上から価値づけをしたり、価値がないから言論空間に出てこなくていいぞと、排除したりということがあってはならない。

道路はどんな色をした車でも、またどんな荷物を積んでいても、 そこは問わずに道路は自由にみんな往来ができますよね。その道路の安全を確保しておくというのが、表現の自由の法的な意味での仕事だと思うんです」

■偽・誤情報の発信も表現の自由?

日テレNEWS NNN

「(表現の自由は)有権者が自分らしい判断をするために、情報交換とか意見交換を、自由にしていくということを大事にしているので、フェイク情報で判断がゆがめられたり、一方方向に誘導されてしまうというのは、本来の“民主主義のための表現の自由とは違う方向”になってしまうんです。

民主主義の担い手がそれぞれに、そこは民主主義のための情報共有は何のためにあるのか、ということを自覚していきたいというところですね」

■SNSやメディアの情報とどう向き合うべき?

日テレNEWS NNN

ー私たちは投票前、SNSやテレビなどのメディアから流れる情報と、どう向き合うべきなのでしょうか?

「(偽・誤情報の判断)これは怪しいんじゃないかという批判精神を持ちつつ、様々な情報を受け止めていく。ここでいう批判精神というのは否定することではなくて、『それって本当?』と自分自身の頭で考えることを言うんですけれども。人々が情報の洪水の前で思考停止になってしまっている。どういうふうに整理していいか分からないという時の、その分からなさをキャッチしてひもといていくという問題キャッチ能力というものをオールドメディアがいつでも磨いておいていただければと。

これは本当なのか取材してみたということで、少なくとも今の時点では、『これが真実であるとは私たちは確かめられなかった』と言うだけでもこれは大きな力を持つと思うんですね。

(情報は)バランスよく摂取するということが大事で、SNSの場合には自分が発信者になれるという魅力がある一方、本当に玉石混交だということも参加者1人1人が分かっておく必要があると思います」