新型コロナウイルスの影響で鉄道の利用者が大きく減少する中、鉄道各社は相次いで終電の繰り上げを発表しています。私たちの生活にも影響を与える「終電繰り上げ」。その背景を取材しました。


◆コロナで利用客減少…終電“繰り上げ”へ

JR東日本 深沢祐二社長(今年9月)「来年春のダイヤ改正において終電時刻の繰り上げをさせていただきたい」

JR東日本が発表した終電時刻の繰り上げ。来年3月、首都圏では最大で30分程度繰り上げる予定で、この動きは私鉄各社にも広がっています。

JR東日本 深沢祐二社長(今年9月)「(新型コロナの)流行が収束後も(利用客数は)元には戻らないと考えております」

山手線の利用客は、新型コロナウイルスの感染拡大前と比べて一日あたり4割近く減少。特に終電に近い深夜帯では7割近くも減少しました。

しかし、それ以前からJR東日本は終電の繰り上げができないか検討していました。理由は、鉄道の安全確保のために不可欠な保守点検作業。終電から始発までの限られた時間でしか行えないのです。


◆深夜の作業は2時間あまりで…作業効率悪く

世の中が寝静まった午前1時半。この日は架線の点検が行われます。

最終電車が通過しても、すぐに作業が始められる訳ではありません。安全に作業するため、まずは線路を閉鎖し、線路や電線に流れる電流を止めるための作業を行います。

この時点で時刻は午前2時。始発までの作業時間は2時間あまりしかありません。この短い時間で作業できる距離は、わずか3〜4キロが精一杯だといいます。

JR東日本・鉄道事業本部 石井剛史次長「時間が限られることで、1つの作業を複数の日に分割して行う必要があり、非常に作業効率が悪く、時間や期間が長く要する」


◆作業をもっと効率的に…工夫は続く

作業を細切れではなく、もっと効率的にできないか。今、そのための様々な工夫が続けられていました。

電車に電気を送るための「架線設備」を新しいものに切り替える「インテグレート化」工事では、従来の架線より部品が少なくシンプルにしています。こうしたことで点検にかかる時間を減らせるなどメリットがあるといいます。

さらに、最新のAIを取り入れた試みも行われていました。東京・中央区の『東日本電気エンジニアリング』では……

柳谷祐之介担当課長「『East−i』に搭載したカメラで撮った 画像を確認してます」

画像は線路の電気設備を検測する専用車両「East−i」で、屋根に取り付けられたカメラで走りながら撮影されたものです。部品の亀裂やボルトや緩みなどAIが画像から発見してくれるため、人が現場で行う点検作業を大幅に減らすことができます。この最新技術は来年度の実用化に向けて準備が進められているということです。

JR東日本・鉄道事業本部 石井剛史次長「機械化などで作業効率の向上をはかっていくのと、設備の改良、スリム化、スマートメンテナンスを導入していく。さらに作業環境の改善と働き方改革を進めていきたい」

作業員の数はこの10年で2割減少するなど、JR東日本は強い危機感を持っています。鉄道にとって最も重要な「安全」を支えるため、終電時刻の繰り上げと合わせて様々な工夫が続けられています。