日本の「亜熱帯化」にともない、年々気になるのが「組み合わせ抽選」の運不運だ。近年、夏の甲子園においては「2回戦スタート」の有利が特に顕著なのだ。

 一昨年の東海大相模、昨年の作新学院と、2年連続して「2回戦スタート」のチームが頂点に立った。この暑さの中を勝ち進むには、何より省エネがいちばんのようだ。

 通常、出場校は全49校。うち、大会5日目第3試合以降に初登場する15チームが「2回戦スタート」となる。

 特に昨年は「2回戦スタート」の有利が顕著だった。抽選の段階で、大会5日目第3試合以降に有力校が集中し、結果、ベスト8に残ったチームのうち北海、作新学院、秀岳館、明徳義塾、聖光学院、木更津総合と、6チームまでもが2回戦スタートのチームだったのだ。半分弱が残ったことになる。

 3回戦で優勝候補の履正社を激闘の末に7−4で破った常総学院に加えて鳴門も準々決勝で消えたため、4強に残ったチームはすべて2回戦が初戦のチームだった。

試合を経るごとに成長するチームも昔はあったが……。

 自身5度目の出場で、最終的に準優勝を果たした北海の平川敦監督は、決勝前夜しみじみこう語っていたものだ。

「6日目第2試合というのが楽だったですね……。2011年は2日目で、こちらの暑さに慣れる前に終わってしまった感じ。ただ7日目だと、ちょっと待つ時間が長すぎる気もする。あと第1試合だと朝早く起きなければならないし、第3試合は暑い。第2試合というのも、ちょうどよかった」

 10年ほど前までは1回戦スタートであっても、試合経験を多く積むことで戦うたびに逞しさを増していくようなチームがあった。

 その代表格が'06年にエース斎藤佑樹を擁し優勝した早実である。早実は1回戦から登場し、ご存知の通り決勝では田中将大を擁する駒大苫小牧とぶつかり、勝負は再試合までもつれた。6試合どころか、7試合も戦ったわけだ。

 ほぼ1人で投げ切った斎藤は1試合ごと成長し、捕手の白川英聖は、決勝再試合が「いちばんよかった」とまで語った。

昨年のベスト8で今年も2回戦を引き当てたのは1校だけ。

 続く'07年に全国制覇を成し遂げた佐賀北も、2回戦で宇治山田商と再試合を経験したため、計7試合を戦った。さらには準々決勝の帝京戦では延長13回までもつれたため、全7試合で計73イニングを戦い、1大会の最多イニング記録を更新している。

 しかしシーズン中も、練習時間の3分の1はトレーニングに割くという練習方針が奏功し、大会終盤でも、そこまで疲労は感じさせなかった。

 しかし近年の暑さは、鍛えてどうこうなるレベルのものではなくなりつつある。7試合も戦って優勝できるチームがあるなど、想像しがたい。

 さて今年の抽選は前年とは対照的に、大阪桐蔭ら優勝候補と目されているチームのほとんどは「1回戦スタート」に組み込まれた。前年の8強に残った作新学院、明徳義塾、聖光学院、秀岳館もしかり。ただ、一校、北海だけは大会5日目第3試合と、2年連続で「2回戦スタート」となった。

 同じ南北海道勢で、'04年、'05年と連覇し、'06年は準優勝した駒大苫小牧も、じつは3年連続で「2回戦スタート」のくじを引き当てている。南北海道勢としては、吉報かもしれない。

文=中村計

photograph by Hideki Sugiyama