もしここに昨年の覇者ルヴァンスレーヴがいたらどうなっていたのだろう。そう思ってしまうほど、今年の第20回チャンピオンズカップ(12月1日、中京ダート1800m、3歳以上GI)には、ものすごいメンバーが揃った。

 有力どころを内枠から見ていくと、芝のGIホープフルステークスを勝ったタイムフライヤー、JBCクラシックの覇者チュウワウィザード、今年のフェブラリーステークス優勝馬インティ、ジャパンダートダービーを制した無敗の3歳馬クリソベリル、今年の帝王賞など統一GIを2勝しているオメガパフューム、今年の川崎記念優勝馬のミツバ、一昨年ここを勝ったゴールドドリーム、といった具合だ。

 さらに、先週のジャパンカップにも出場していたランフランコ・デットーリ、ライアン・ムーア、オイシン・マーフィーら、外国の超一流騎手が参戦するのだから、見応えのあるレースにならないわけがない。

クリソベリルはアロンダイトの甥。

 昨年ここを3歳でありながら圧倒的な強さで制したルヴァンスレーヴは、左前脚の不安のため長期休養中だ。前身のジャパンカップダート時代に3歳で圧勝したクロフネ級の名馬になり得る逸材だけに寂しいが、実は前述したチュウワウィザード(牡4歳、父キングカメハメハ、栗東・大久保龍志厩舎)は、ルヴァンスレーヴのいとこ(母の半姉の息子がルヴァンスレーヴ)なのだ。

 2走前の帝王賞で2着に負かされたオメガパフュームを、前走のJBCクラシックで下してGI初制覇。13戦8勝2着3回3着2回とデビュー以来4着以下がないという高いレベルでの安定ぶりは、いとこのルヴァンスレーヴに通じるものがある。

「3歳つながり」で言うと、ジャパンカップダート時代の2006年、3歳のアロンダイトがここを完勝した。6月に未勝利を脱出してからわずか5カ月強で頂点に登り詰めた強さは印象的だった。

 今年、5戦5勝でここに出てきたクリソベリル(牡3歳、父ゴールドアリュール、栗東・音無秀孝厩舎)は、そのアロンダイトの甥(母の全弟がアロンダイト)なのである。

勝てば史上5頭目の快挙。

 ここに至るまで、5勝すべてで2着を3馬身以上突き放しているのだから恐ろしい。前走の日本テレビ盃で古馬勢との対決も済ませており、格負けする心配もない。

 半姉にエリザベス女王杯と宝塚記念を勝ったマリアライトがいることから、成長力という点でも期待できる。

 3歳でチャンピオンズカップと前身のジャパンカップダートを制したのは、前述のクロフネ、ルヴァンスレーヴ、アロンダイトのほか、'05年に勝ったカネヒキリ('08年も優勝)しかいない。クリソベリルは、これら4頭の名馬に次ぐ5頭目に名を連ねることができるか。

インティは前走の15着が気になる。

 ここで印を。

◎クリソベリル
○チュウワウィザード
▲タイムフライヤー

 タイムフライヤー(牡4歳、父ハーツクライ、栗東・松田国英厩舎)に印をつけたのは、NHKマイルカップとジャパンカップダートで芝ダートGI制覇を果たした、同じ松田厩舎の「クロフネの再来」を期待しての応援票のようなもの。

 ダート路線に転向して3戦目となった前走の武蔵野ステークスで2着と、久しぶりにいいところを見せてくれた。

 一昨年のホープフルステークス以来、2年近く勝ち鞍がないが、先週のジャパンカップを勝ったマーフィーが、新たな強さを引き出してくれるかもしれない。

 インティを無印にしたのは、いくら序盤の入り方がまずく、4コーナーで他馬と接触する不利があったにしても、15着と大敗した前走が気になるから。以前は1800mでも強さを発揮してきたが、今は1600m以下のほうが競馬をしやすくなっているような気がする。

 しかし、ここを勝てば、安田記念とマイルチャンピオンシップを勝ったインディチャンプ同様、春秋王者決定戦の連覇となり、最優秀ダートホースが確定する。そうなれば、こちらは「インディチャンプの再来」というか「インディチャンプの再現」か。

 ともあれ、超豪華メンバーによるダート王決定戦を、存分に楽しみたい。

文=島田明宏

photograph by Yuji Takahashi