静岡学園の逆転優勝というドラマチックな結果で盛り上がった第98回高校サッカー選手権。『Number』995号では、このタイミングで高校サッカー選手権を初特集しています。

 それに合わせてNumber Webで「あなたにとって高校選手権最高のヒーローは?」というアンケートを行いました。

 長い歴史を持つ選手権、様々な世代のファンにそれぞれのヒーローがいる。そのなかで最高の支持を集めるのは誰か!? 2019年12月9日〜2020年1月6日に実施し、集まった票数は1092票。まずはご投票と熱いコメントの数々、本当にありがとうございました。

 予想どおりというべきか、大接戦で票が割れるなかで1位に輝いたのは平山相太(国見)。平成の怪物を直撃したインタビューは、Number995号のトップ記事として掲載しています。

 それでは、皆さまが選んだトップ10を選考理由とともに発表します。

第1位 平山相太(国見)151票

 2001年度から'03年度まで3年連続出場で優勝、準優勝、優勝。2年、3年時に史上初の2年連続得点王。大会通算得点記録は今も破られていない、まさしく「怪物」。名門・国見の歴史のなかでもひときわ輝く存在です。

 まさに怪物、というのが多くの方々の共通見解。同世代はもちろん、満遍ない年齢層のファンに支持されたのが1位の要因かもしれません。

「ヘディングシュートするようなハイボールを、胸トラップして簡単に足元に収めて、ゴールに流し込む。思わず、『それは反則でしょ』と言ってしまう。平山選手だけ反則を許されているゲームを見ているようだった。まさに規格外の化け物だと思った」(30代男性)

「その当時長崎に転勤になり、高校サッカーに興味のなかった私が初めて観戦したのが平山くんのいる国見高校でした。高校生なのに立派な体格とすごい攻撃力で衝撃的でした! それ以来高校サッカーのとりこになりました」(40代女性)

「名だたる選手の中でも、高校サッカーと言ったら、国見の平山選手が1番だと思います。当時は欧州でプレーする日本人が少ない中、得点力とスケールの大きさが明らかに規格外で、欧州でも活躍してくれる希望を抱いていました。その後、様々な選手が欧州に渡り、活躍しましたが、高校時点での期待値の大きさは未だに平山選手を超えた選手はいないと感じています。プロでは結果こそ出なかったですが、間違いなく平山選手が1番だと思います」(20代男性)

「このサイズなのに、足元の技術もあって凄い選手が出てきたと衝撃でした。ハイボールを胸トラップで収められる柔らかさが印象的でしたね」(50代男性)

「同い年のヒーローであり、尚且つ国見時代から飛び級で上のユース年代代表で活躍する姿は本当に誇らしかった。本田圭佑や大迫勇也も生で選手権で観戦したが、平山相太は当時誰よりも日本サッカーの明るい未来を象徴する存在だった」(30代男性)

 そのスケール感で未来に希望を感じさせてくれながらも、プロでは不完全燃焼だったことを惜しむ声が多かったのも印象的でした。ご本人は現在仙台大学で学びながらサッカー部でコーチをしているということで、人柄を物語る微笑ましい後押しも。

「圧倒的なインパクトの怪物。いまは僕達の素晴らしいコーチ」(20代男性)

「あの大きな身体にもかかわらず、しなやかな動きでゴールまでのイメージができている。また、去年から身近な存在になり、アドバイスをもらえることに感謝をしているため」(20代男性)

2位は懐かしのレフティ・モンスター。

第2位 小倉隆史(四日市中央工)127票

 選手権通算9試合で5得点のこれまた怪物。'91年度大会決勝の帝京戦では、1−2で迎えた後半終了間際に伝説のヘディングシュートを決めて両校優勝へ。全国的スターになりました。

 その後、アトランタ五輪最終予選の直前に負った大ケガが原因で輝きを失ってしまった悲劇性も、多くのファンの心に刻み込まれる要因になっているのかもしれません。同世代からの熱い支持が目立ちました。

 Number995号では、彼に惚れ込み「レフティ・モンスター」の異名を授けた金子達仁氏が久々の再会を果たして入魂のインタビュー記事を執筆してくれています。

「三重県民にとって高校サッカーにおける最高の選手。ケガさえなければ世界でも通用した」(40代男性)

「レフティ・モンスター、その名の通りのプレーがアタマから離れないです。マレーシアの悲劇がなければと思うと、残念でならないです」(50代男性)

「初めてサッカーの試合に魅入りました。サッカーがこんなに面白いのかと思えた試合を見られて幸せでした。以降、彼をずっと応援しました。ファンタジスタ!」(40代女性)

「当時、高校生だった私は、小倉選手のオーバーヘッドに魅了されて、サッカーファンになりました! まるで、漫画のキャプテン翼くんのワンシーンのようでした! 本当にカッコ良かった!」(40代女性)

「クライフの14番のように17番が取り合いになった。小倉と言えば17番。17番と言えば小倉。高校生でここまで印象的な選手はいないと思う」(40代男性)

第3位 大迫勇也(鹿児島城西)101票

 日本代表の大黒柱としてロシアW杯でも活躍。その際に再ブレーク(?)した名ゼリフ「大迫半端ないって」は、'08年度選手権の滝川二高戦で生まれました。当然ながらアンケートコメントも「半端ない」の嵐。

 Number995号では表紙に登場していただきました。特別インタビューでは「(大会が終わって地元に帰るまで、)知らなかったんですよ」と苦笑する大迫選手ですが、なんと今では娘さんにまで「パパ、半端ないって」と言われるとか。

 ともあれ、大会記録10得点はまさに圧倒的。当時からずば抜けていたポストプレー、キープ力、シュート力にアシストもできる視野の広さを見せつけ、決勝では敗れたにもかかわらず多くのファンに衝撃を与えました。

「やっぱりぶっちぎりで大迫選手。どこからでも決める高校生離れした決定力と完成度。素人目に見ても『彼に預ければなんとかしてくれそう』というオーラがあった。対戦相手が発したあの名言は、彼を象徴していると思います」(40代男性)

「洗練された体躯から繰り出される、両手をうまく使ったしなやかな身のこなし。派手なフェイントを使わず、緩急と相手の逆を突くドリブル。周りをうまく生かすポストプレーとシンプルなアシスト。左右両足から繰り出される切れ味鋭いシュート。オーラを纏いながら長袖のウェアを着て飄々とプレーする姿。文句がつけようがない最高のFW」(20代男性)

「当時私は中学3年生でしたが、学校の男の子たちが『大迫半端ないって』と言いながらサッカーをやっていたのが忘れられません。大迫ブーム凄かったです」(20代女性)

「まるで大人が子どもを相手にするように次々とゴールを決める様に鹿児島県民は沸き立った。鹿児島城西高校がある日置市伊集院町は人口2万ちょっとの小さな町。準優勝によって町の目抜き通りで催されたパレードでは多くの市民が声援を送った。"わが町"の選手である大迫が今や海外の一流クラブでプレーしている。夢の続きを一緒に見られる唯一無二の存在」(50代男性)

「とにかく半端ない」(30代男性/他、類似コメント非常に多数)

雪の決勝で輝いた三冠ドリブラー。

第4位 本山雅志(東福岡)98票

 選手権史上に残る伝説の名勝負、第76回大会「雪の決勝」。“赤い彗星”東福岡と“カナリア軍団”帝京の頂上決戦を制して、高校サッカー史上初の三冠を勝ち取ったエースが4位の支持を集めました。

 ともに鹿島に入団する帝京・中田浩二との対決という印象がありますが、今回のアンケートでは本山が勝利ということになりました。やはり年間公式戦無敗での三冠のインパクトは絶大。そして目立ったのが、今でも応援し続けているという女性からの熱い支持が多かったことです。

「赤い彗星の異名を持つ東福岡高校で三冠をとり、公式戦無敗という記録をつくった立役者。今も語り継がれている高校選手権雪の国立の決勝の舞台での活躍は素晴らしく、当時幼かった私の脳裏に焼き付いて、今も離れません」(30代女性)

「雪の決勝、ドリブラーとしてだけではなくシンプルにはたく選択肢の上手さ、純粋に上手いなぁと思いました」(30代男性)

「サッカーに興味がなく、たまたまテレビを付けてやっていたのが、雪の決勝戦でした。その中で、本山選手だけが他の選手よりも格段に上手いのは分かりました。この人は違う!! と素人目にも分かりました。その後の進路が鹿島アントラーズと聞いて『やっぱり!!』と感じました。今でも本さんのプレーは魅力的に映ります」(30代女性)

第5位 アデミール・サントス(東海大一)63票

 '86年度、東海大一に初出場初優勝をもたらしたフリーキックでのゴールは、まさに伝説のゴールのひとつ。その美しい放物線から誰が呼んだか“バナナシュート”。この1本が心に刻み込まれた、という世代の支持を集めました。

「国見高校との決勝戦。左足で壁の外を巻いたバナナシュート。あんなに曲がるんだと小学生の時に思った。かっこよかった」(40代男性)

「伝説のフリーキック。まるでW杯のワンシーンであるかのような美技が選手権優勝に花を添えた。未だにあの時受けた衝撃を超えるシーンは現れていない」(40代男性)

「40代半ばの静岡県民なら、アデミール・サントスのフリーキックの真似をしたはず」(40代男性)

 6位以降は、駆け足でコメントをご紹介していきましょう。

第6位 石塚啓次(山城)57票

「高校選手権決勝、怪我のため残り時間わずかから途中出場だったが、ピッチに入った時のチームメイトからの歓迎と場内の歓声は忘れられない。当時、中学生だった自分は、対戦相手の国見高校の選手が全員坊主である中、石塚選手が茶髪姿である事に驚きを覚えたが、石塚選手がボールを持った後、何かしてくれるのではないかと期待し、彼の一つ一つのプレーに魅了されたのを覚えている」(40代男性)

「途中出場した決勝の国見戦で、ピッチサイドに立った瞬間の国立の地鳴りのような歓声が忘れられません」(30代男性)

「ゲームの雰囲気をあんなにも一変させられる高校生なんて、後にも先にもいないのでは。
最高のヒーローではなく、未完のヒーローだけれども」(40代男性)

第7位 乾貴士(野洲)54票

「セクシーフットボール野洲高校。印象的なネーミングとともに、楽しそうにパスを回して縦横無尽にコートを駆け回るイレブン。目に焼き付いています!」(30代女性)

「お堅いサッカーが主流だった高校サッカーの中、自由さを前面に出したサッカーで、日本一になった姿は衝撃でした。あの野洲サッカーの代名詞とも言える乾選手は、時代を変えたヒーローと言えるのではないでしょうか」(40代男性)

「乾率いる野洲高校のセクシーフットボールは、当時のフィジカルを前面に押し出した高校選手権のなかで、本当に個々が卓越したテクニックを持って相手を凌駕するという特異なプレースタイル。驚きを隠せませんでした」(30代男性)

GKから唯一のランクインはもちろんあの人。

第8位 川口能活(清水商)53票

「GKのイメージを180度変えてくれました。あんなに積極的に前に出てくるGKをそれまで見たことがなかったし、PKも決めてしまうし、失礼かもしれませんが、ルックスも文句なしでした。彼のプレー、一挙手一投足に高校生らしからぬ華があったと思います」(40代女性)

「実力もさることながら、当時(今でもだが)脚光を浴びることが少ないGKで、キャプテン、スーパースターというところに衝撃を受けた」(30代男性)

「リアル若林源三が現れた! と、衝撃を受けたのを覚えています」(40代男性)

「格好良すぎた。監督の優勝インタビューの時の涙が極めつけだった」(40代男性)

第9位 北嶋秀朗(市立船橋)35票

「3年間通しての選手権での活躍と当時の得点記録の塗り替えなど、選手権イコール市立船橋というイメージをつくりあげたから。とにかく得点感覚が凄かった」(40代男性)

「市立船橋の黄金期、柏レイソルの黄金期。決勝戦は、中村俊輔(桐光学園)との最高の試合だった。今現在に至っても永遠のスターだ!」(30代男性)

「当時の得点記録を塗り替え、その圧倒的なスター性と将来性に魅了された」(40代男性)

第10位 森崎嘉之(市立船橋)34票

「決勝でハットトリック、名門市立船橋高校の新たな歴史にふさわしい大活躍はいまだに記憶に鮮明」(40代男性)

「当時、高校サッカーに無知だった自分でも帝京高校が強豪であることくらいは知っていた。その帝京相手に市船の森崎選手がゴールラッシュを見せての圧勝は衝撃的だった。Jリーグに入ってから目立った活躍は無かったものの、常に注目はしていた。大迫半端ないってよりも、森崎半端ないってと感じていた」(30代男性)

「市船ファンとして全てが衝撃的でした。帝京との決勝でのハットトリック、そして得点王。特にCKからのバックヘッドは痺れましたね。まさに最高の選手」(40代男性)

文=Number編集部

photograph by Kiichi Matsumoto