異例ずくめの2020年シーズンが始まった。

 無観客試合は、試合に集中できてテレビで見る分には案外良いのではないかと思う。特に打撃音で安打か凡打かを当てるのには、ちょっと夢中になってしまった。

 中日の与田剛監督が「放送ブースの声が聞こえる」とクレームをつけたのは驚いた。“捕手が内角に構えました”などのような実況の声が聞こえたようだ。こういうのも想定外だろう。

 そんな今シーズン最初のカードについて、データを中心に振り返ろう。

楽天打線は5人の打者が2打点。

【パ・リーグ】
○チーム成績
1 楽天2勝1敗0分 率.667差-
打率.204 防率2.00
1 ロッテ2勝1敗0分 率.667差-
打率.219 防率1.63
1 日本ハム2勝1敗0分 率.667差-
打率.224 防率2.08
4 西武1勝2敗0分 率.333差1.0
打率.211 防率4.67
4 ソフトバンク1勝2敗0分 率.333差1.0
打率.233 防率2.89
4 オリックス1勝2敗0分 率.333差1.0
打率.237 防率3.21

 パ・リーグはリーグ防御率が2.75と投高打低になった。楽天打線は数字で目立っている選手はいないが、5人の打者が2打点ずつ挙げるなどタイムリーが出ている。

 西武は1勝2敗だったが、ニール(〇6回自責点0)、松本(●6.1回自責点2)、與座(●6回自責点3)と3人の先発が揃ってQS(クオリティスタート、先発が6回以上投げて自責点3以下、先発の最低限の責任)をクリアした。

 西武先発陣はここ近年、菊池雄星のMLB移籍だけでなく多和田真三郎も離脱して不安視されたが、明るい兆候が見えたと言えるだろう。

栗山巧が6安打。通算2000本まで……。

○打撃成績
<最多安打>
6安打:栗山巧(西)

<最多本塁打>
1本塁打:井上晴哉、レアード(ロ)、大田泰示、中田翔、清水優心(日)、外崎修汰(西)、明石健志、柳田悠岐(ソ)

<最多打点>
4打点:井上晴哉(ロ)

<最多盗塁>
2盗塁:荻野貴司(ロ)

<打率3傑(規定打席以上)>
1 栗山巧(西).600
2 井上晴哉(ロ).400
2 長谷川勇也(ソ).400

<RC(打撃総合指標)3傑>
1 栗山巧(西)4.00
2 柳田悠岐(ソ)3.61
3 井上晴哉(ロ)3.33

 ベテラン打者の活躍が目立つ。西武の19年目の栗山巧が10打数6安打2二塁打2打点と元気だ。2000本安打まであと169本。今季は難しいだろうが、可能性が見えてきた。

 ソフトバンクの長谷川勇也が開幕スタメンに名前を連ねるのは、2015年以来5年ぶり。彼も10打数4安打1二塁打と働いた。

圧巻の山本由伸、泉&牧田も好投。

○投手成績
<最多勝利>
1勝:山本由伸(オ)、則本昂大、森原康平(楽)、ニール(西)、美馬学、ハーマン(ロ)、高橋礼(ソ)、玉井大翔、堀瑞輝(日)

<最多セーブ>
1セーブ:辛島航(楽)、益田直也(ロ)、増田達至(西)、秋吉亮(日)

<最多ホールド>
1ホールド:20投手

<最多奪三振>
10奪三振:山本由伸(オ)

<防御率(規定投球回数以上)>
1 山本由伸(オ)0.00
1 石川歩(ロ)0.00
1 ニール(西)0.00
1 東浜巨(ソ)0.00
1 杉浦稔大(日)0.00
1 泉圭輔(ソ)0.00

<PR(投手総合指標)3傑>
1 山本由伸(オ)2.45
2 石川歩(ロ)1.84
2 ニール(西)1.84

 山本由伸が8回零封、胸のすく快投を見せた。10奪三振も素晴らしいが、無四球の快投だった。昨年先発に転向して6カ月間すべて防御率2点台以下と抜群の安定感だったが、新型コロナ禍下の調整もうまくいったようだ。

 救援投手は各チームとも「顔見世」の感があったが、ソフトバンクの新鋭・泉圭輔が2試合、3.1回を無失点。MLBから復帰した楽天、牧田和久も2試合2回を無失点。いい滑り出しだった。

ボーアが象徴する猛虎打線の低調。

【セ・リーグ】
○チーム成績
1 巨人3勝0敗0分 率1.000差-
打率.301 防率1.33
2 広島2勝1敗0分 率.667差1.0
打率.271 防率2.77
2 中日2勝1敗0分 率.667差1.0
打率.298 防率4.33
4 DeNA 1勝2敗0分 率.333差2.0
打率.242 防率5.00
4 ヤクルト1勝2敗0分 率.333差2.0
打率.279 防率3.86
6 阪神0勝3敗0分 率.000差3.0
打率.189 防率5.25

 勝っているチームは打率も防御率も当然良いが、目立つのは阪神の貧打だ。阪神は昨年、リーグ最低の509打点と打線が振るわなかった。そして迎えた今季、期待の新外国人ボーアは何と12タコ。悩ましいスタートとなった。

パーラの選球眼、投手がよく打つ?

〇打撃成績
<最多安打>
6安打:高橋周平(中)、坂口智隆(ヤ)

<最多本塁打>
2本塁打:パーラ(巨)、鈴木誠也(広)、山田哲人(ヤ)

<最多打点>
6打点:パーラ(巨)

<最多盗塁>
1盗塁:山田哲人、エスコバー(ヤ)、近本光司、糸原健斗(神)、高橋周平(中)、坂本勇人、湯浅大(巨)、メヒア(広)

<打率3傑(規定打席以上)>
1 坂口智隆(ヤ).600
2 パーラ(巨).556
3 岡本和真(巨).500
3 木下拓哉(中).500

<RC(打撃総合指標)3傑>
1 パーラ(巨)5.46
2 鈴木誠也(広)4.97
3 岡本和真(巨)4.28

 ボーアとは対照的に巨人の新外国人、サメ男ことパーラが9打数5安打2本塁打6打点の活躍。新外国人が開幕シリーズで暴れるのはよくあることだが、わずか2三振で3四球。コンパクトに振っているのが目立つ。

 ヤクルトの坂口は昨年、死球でシーズンを棒に振ったが今季は10打数6安打と好調な滑り出し。

 なお開幕戦では西勇輝(神)、大瀬良大地(広)と2投手が本塁打を放った。

 開幕戦で投手が本塁打を打つのは2008年の中日、川上憲伸以来で、史上14、15例目だ。昨年は投手の本塁打は「0」だった。

 それだけではない。開幕3連戦でセ6球団の投手の打撃成績は合わせて、31打数10安打2本塁打5打点、打率.323。昨年のセ投手の打撃成績を算出すると、1376打数148安打0本塁打52打点、打率.108。もちろん開幕の3試合だけ、という前置きをした上でも激変だ。

 ここまで打席に立ったのは、すべて先発投手。責任投球回が短めになる中で「俺が決めてやる」という気持ちになったのかもしれない。それとも、セの投手たちは自粛中、打撃練習に精を出していたのだろうか? そんな風に思ってしまうほどの成績である。

有望株の森下と梅津が無失点。

〇投手成績
<最多勝利>
1勝:大瀬良大地、中崎翔太(広)、梅津晃大、福敬登(中)、菅野智之、サンチェス、田口麗斗(巨)、小川泰弘(ヤ)、パットン(De)

<最多セーブ>
2セーブ:岡田俊哉(中)

<最多ホールド>
2ホールド:R.マルティネス(中)、マクガフ、清水昇(ヤ)

<最多奪三振>
8奪三振:菅野智之(巨)、森下暢仁(広)

<防御率3傑(規定投球回数以上)>
1 森下暢仁(広)0.00
1 梅津晃大(中)0.00
3 大瀬良大地(広)1.00

<PR(投手総合指標)3傑>
1 森下暢仁(広)2.91
1 梅津晃大(中)2.91
3 大瀬良大地(広)2.74

 防御率上位2人は、新人王資格を持った森下と2年目の梅津とフレッシュな顔ぶれ。新時代の到来を予感させる。ヤクルトは1勝2敗だが3試合で6ホールド。救援投手上がりの高津監督の手腕を感じさせる。

鈴木大地&西川遥輝が1000安打!

【まとめ&記録備考】
 メジャーリーグのように両リーグ、打投の週間MVPを選出するとすれば、

打:栗山巧(西)
投:山本由伸(オ)

打:パーラ(巨)
投:梅津晃大(中)

 となるだろうか。セは森下(広)と梅津(中)が同成績だったが、勝ち星が付いた梅津とした。

 なお6月19日に楽天の鈴木大地が1000本安打、20日には日本ハムの西川遥輝が1000本安打。史上303、304人目だった。巨人は6月19日の勝利でNPB史上初の6000勝を達成した。

 また完投は両リーグ合わせて開幕戦の大瀬良だけだった。過密なスケジュールだけに今季は「継投策」の重要性がさらに高まりそうだ。

 今週からは両リーグともに6勤1休のハードなスケジュールが始まる。

 パ・リーグは同一カードの6連戦。先攻後攻を入れ替えての6連戦はいくらでもあるが、同一球場で先攻後攻を固定しての6連戦は、ポストシーズンも含めて例がない。どんな試合展開になっていくのだろうか?

文=広尾晃

photograph by Kiichi Matsumoto